空海花

Torbaaz(原題)の空海花のレビュー・感想・評価

Torbaaz(原題)(2020年製作の映画)
3.4
ギリシュ・マリク監督作のインド映画。
監督にとって今作は2作目らしい。
コロナで劇場公開が適わなくなったところNetflixと契約。配信のみ。
インド映画だが
アフガニスタン映画という異色作。
邦題は「希望の光」
原題の英訳は
Black Falcon(クロハヤブサ)

主人公ナセルはアフガニスタンの首都カブールのインド大使館に配属されていた元軍医。
彼はそこで自爆テロに遭い
妻と息子を失っていた。

2度と戻るまいと思っていたが
慈善活動家の友人に請われて
再びアフガニスタンへ。
そして彼は難民キャンプで
子供たちにクリケットを教え
チームを結成し試合をしようと考える。

子供たちの間でも人種や宗教の壁が。
タリバンから逃げてきた子供も。
子供だからと簡単に打ち解けると考えるのは甘い…
許す許せないの壁もある。
子供の洗脳という負の遺産が
進行形で続いているアフガニスタン。
それでも皆が大好きなクリケットというスポーツに可能性を感じる。
妻が力を入れていた活動「明日への光」
タリバン派がすぐ傍にいるので緊迫感も半端じゃない。
強面のサンジャイ・ダッド(ナセル)もどうにかしようと奮闘する。

“敵を殺すことは来世の美徳と栄光”

こんな言葉は一生理解しなくて良いと思う。

スポーツマン・シップや
彼らを気にかけるナセルたちの
優しさの光は確かに少年を照らした。

驚きの結末は、一言では形容し難い。

作りは粗さが目立つし
色々描ききれていない面が気になる。
試合のシーンも地味というか
胸中「えっ?えっ?」と言いながら進行していった。
そんな中、この結末には力の抜ける思いがした。
しかしそれは子供だからこそ
リアルに感じてしまった脱力でもある。
インドはアフガニスタンとは友好関係にあるらしく、こういった難民キャンプ支援もあるのだろう。
ただ、問題はかなり多いことが察せられた。
意義と意表に加点。
ジャンル分け難しいけれど
スポーツを題材にした社会派ドラマというところか?


2021レビュー#065
2021鑑賞No.80
空海花

空海花