KIKIKI

キャラクターのKIKIKIのネタバレレビュー・内容・結末

キャラクター(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

『ジキルとハイド』か、とたかを括っていたが、殺人鬼が漫画家の幻覚・妄想という設定でなくてよかった。

無戸籍児・カルトという陰鬱な社会問題の絡め方はぎりぎり絶妙を保っている。
現実と非現実の対比というより、どちらも現実。
仲介役が中村獅童(「デスノート」のリュークの声)であることに含みを感じる。

漫画家が殺人鬼を模倣し、殺人鬼が漫画を模倣した。
「僕が彼のファンで彼が僕のファンになった」
「僕は誰なんですか?」

SNS社会では、相互フォローにおいてのみ「僕」は存在するのか?。

殺人をしたことのない漫画家はリアリティのある殺人を描けない、らしい。
一方で、人を刺したことも刺されたこともない我々は、そのシーンを見て痛みを感じる。

設定(殺人鬼は漫画を模倣する)を逆手に取った展開は熱い(さらに逆手を取られるが)。
子どもの死体をしっかりと映すことに誠意を感じる。
R指定を免れたのは(おそらく狙って)血液の色味を抑えたからか。
俳優陣は申し分ない。

他者との距離感・リアリティの欠如・アイデンティティの喪失。物語の影響力。

自分は誰かの物語の登場人物。
誰かは自分の物語の登場人物。
KIKIKI

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