るるびっち

キャラクターのるるびっちのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
4.3
くつがえされた~。
ありがちな展開と、高を括っていたら裏かかれた。
悔しいです!!
殺人鬼を偶然見た漫画家の卵が、それをヒントにヒット漫画を描く。
そしたら漫画と同じ殺人を殺人鬼が仕掛け、更に漫画家にも迫る。
いや~、ありがちと思うじゃない。そこも実は計算の内か?
ありがちと思わせてること自体、制作陣の罠だったのかも。

普通は漫画通りの殺人が起こるので漫画家が逮捕されたり、その隙に家族が狙われたりする。そういうサスペンス、よくある気がする。
所が力技のそうしたサスペンスではなく、日本的な何か緻密なミステリーなんだな。

小栗旬が非常に頼もしい。これも罠なんだ~。
『サイコ』と同じ衝撃。または『七人の侍』の平八と同じ。
え!! ここで?? 
引き込まれる。

自分を目撃した漫画家を襲う=常人の発想。
サイコパスは違う。
「先生~、共作ですよね~、うれしいな~💛」
何コイツ!!
あ~、でも自分はサイコパスじゃないんだと安堵する。
私、普通の人でした。まぁ、そうでないと困るんだけども・・・

実は殺人鬼って引き金なのね。
優し過ぎて悪人が描けないと言われていた、漫画家卵の菅田将暉。
本当は優しいのではなく、自分の中の闇を抑えていたのだ。
殺人鬼の影響で、彼の闇が解放される。
でも、正面からはそう描いてない。
あくまで、サスペンスドラマとして面白く描いている。
両角(もろずみ)として自己紹介する犯人。
その真相は二転三転する。
でも、それすらミスリード。
作り手の狙いは両角の狂気ではない。
菅田将暉の狂気。
殺人鬼と漫画で対決する菅田将暉。
彼の家族への思い・・・
彼の創作意欲の陰に、この視線があったのだ。
白将暉が黒マサキに返る瞬間。
でも、両角はお見通し~。
「見ろや、このサイコ、カッチカチやぞ!! カッチカチやぞ!! ゾックゾクするやろ!!!」

最初のスケッチが伏線になっていたり、伏線回収がすごい。
4人家族の本当の秘密がすごい。
さすが菅田将暉、『仮面ライダーW』をやってたのも実は伏線だったのかと疑うくらい、何もかも繋がっている。君と僕はW。
「さぁ、お前の罪を数えろ」

日本の戸籍問題にも、一石を投じている。
殺人鬼だけでなく、自分の才能に悩む若者の素顔も緻密に描写している。正にキャラクターを緻密に描いているのだ。
さぁ、どうしますか??
自分に、殺人の才能があると気付いたら?
その才能活かしますか? 殺しますか?
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