初見よりは楽しめた。特に中盤までの展開が好き。けれど、キャラの善悪が最後までそのまま揺らがないため意外性はない。また、両角が行う殺人自体は全く描かれないから、観客に共有させるべき誰もが持つ暴力性や怨念をあまり実感できず残念。尻切れ蜻蛉感は長崎尚志らしさが出てる。「四人家族」という概念の提示で、大多数の観客に恐怖を覚えさせることは成功しているし、高畑充希が“良妻”として描かれているのも「幸せな家庭」の空虚さと家父長制のカルト性を炙り出せている気がしなくもない。一応、終盤に山城の暴力描写とそれに伴う反転があるので、綺麗な脚本とも言える。ただそれなら、行くとこまで行っちゃえよ！派なので、R15にすれば良かったのにね...と思わずにはいられない。あと、サイコ系殺人鬼キャラにありがちな演技じゃないのが良いとの意見があるけど、個人的には割とそれっぽく感じたけどな...なんか、色々と惜しい映画。
