おなべ

キャラクターのおなべのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.6
◉描いてはいけない主人公──。

◉『20世紀少年』の《浦沢直樹》作品を数多く手掛けてきたストーリー共同制作者《長崎尚志》が、《川村元気》らと共に10年以上の歳月をかけた企画原案を、『帝一の國』『恋は雨上がりのように』の《永井聡》監督が実写映画化。

◉売れない漫画家の山城は、とある家をスケッチしていると、殺人現場を目撃してしまう。殺人犯の姿を見た山城は、それを漫画のキャラクターとして描くことで、売れない漫画家から一気に大人気作家へと大躍進。しかし、漫画の中の殺人を模倣する事件が次々と発生し…。

◉見どころは何と言っても、〈SEKAI NO OWARI〉のボーカル《Fukase》の好演。猟奇殺人鬼の狂気性を体現する見事な演技で、他の実力派俳優に引けを取らないサイコぶりを見せていた。小刻みに揺れる演技に注目。

◉設定は、いかにも日本映画らしい漫画を取り入れたオリジナル感があって新鮮だったのと、メディアの影響力といった昨今のご時世を反映したかのような作りで、新しい試みに挑戦する制作陣のチャレンジ精神にも、ちょい評価。












【以下ネタバレ含む】












◉所々で登場人物の突っ込み所満載な立ち回りが気になったのは一旦置いといて、撮影の裏側を想像してしまうカメラワークに冷めてしまったのと、意図的なゴア描写を避けた演出に残念感が残る。R-指定の線引きが難しいのは分かるけど、それではいつまで経ってもメジャー、特に韓国映画に勝てない気がする。

◉また、ここへきて《菅田将暉》の台詞の演技の棒感が気になった。なんでもこなせてしまうカメレオン俳優ではあるものの、もっと敵役な俳優がいたのでは…。
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