うん、ラストの尾の引き方が好きぃぃい。
邦画サスペンスってさ、どうしてもリアリティに欠けたりゾクゾク感が足りなかったりして毎回失敗する。
今作も豪華なキャストで、前評判も高かったから、余計に心配していたが、見事の裏切りよう。
中身に関しては、主人公の漫画家・山城の謎めいた性格と、犯人である両角のミステリアスさが混じり合い、最後まで目が離せない心理戦を描けていました。
山城が殺人現場を目撃し、そこで目にした犯人・両角をモチーフに漫画を書いて大成功。
すると、今度は両角が漫画を再現するかのような犯行を続けていく。
主軸となる物語は、山城と両角の動きによる展開であるが、そこに山城の妻・夏美や実家の家族描写だったり、事件を捜査する刑事・清田と真壁らがエッセンスを加えていき、更に人間ドラマを濃くしていった。
サスペンスとしてのプロットはよく出来ており、先が読める・読めないに関わらず、完成度の高いものだと思いました。
謎が解けていくスピード感や、伏線の数に関しても、決して玄人向けではなく大衆向けに仕上げていて好印象でした。
対して、本編の肝となる両角というキャラクターであるが、そちらはどうも分かりづらさを出してしまったな〜と。
というのも、彼がこうなった経緯が、あまりにも我々とは掛け離れた位置にいて、理解するには難しいなと思うのでした。
そのあたり、また中身の雰囲気からはハリウッドの名作『セブン』にも似た重苦しさを感じました。
そちらでは、胸糞なラストを迎えましたが、さて今作はどうだったのでしょう？
私がキャラクターと聞いて思い浮かべるのは、造作物や模倣物のイメージがある。
例えば、自分がああなりたいな〜という理想像があって、それに近づけていくことをキャラ作りと言うように、何か理想を演じるイメージが強い。
それをふまえて観ると、主人公の山城にもキャラクターという言葉が似合うような気がするのでした。
