りょう

BLUE/ブルーのりょうのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.0
ボクシングものでありがちな、最後に強敵に勝って感動のフィナーレ!っていう話でもなく、カタルシスを感じるところがさほどないのに、見終わった後に何かが残る作品。それが何なんだろう。形に表せない。

楢崎は、バイト先の女の子にモテたいためにボクシングをやってる風出したくて、ジムに通い始める。そこそこセンスがあり、基本に忠実にやっていったら、プロテスト合格、初マッチに負けるも、2試合目で元キックボクサーに勝ってしまう。ただモテたいだけで始めたボクシングに、勝ちたいって想いが芽生えて、めきめき成長する。メンタル弱弱で、怖いこと嫌い、でも見栄張ったり、自分が優位だと思ったら見下したり。なんか良くも悪くも人間らしい存在。

小川はリーチも長いし、才能もあるボクサーだけど、パンチドランカーになっていて、たまに呂律回らないわ、記憶飛ぶわで。だけど圧倒的強さ。ボクシングも恋愛も常に勝ってきた。

最後に瓜田。一番コツコツ真面目に練習してるし、知識も豊富なのに、全然試合に勝てない。後から入ってきたヤンチャな後輩にも負けちゃう始末。でも、心がめちゃめちゃ広いし、優しい。怒らない。

瓜田は2勝10敗、楢崎は1勝1敗、小川は常勝だったけど、最後の最後でドクターストップで敗北。彼らの人生を表しているよう。

小川が日本タイトル取った時、瓜田がおれはいつもお前が負ければいいと思ってたっていうセリフ。瓜田の本心が唯一見えた言葉だし、人間らしくて逆に安心した。タイトル戦の前、瓜田が小川にカウンターでのアッパーをアドバイスするが、小川は絶対試合で繰り出さない。それで勝つことは小川にとっては負けを意味することだったのだと思う。

瓜田が千佳にバンテージ巻くシーン、切なかったな…。千佳のことが好きで、千佳に奨められてボクシング始めたけど、その中で小川と出会って、千佳と小川が付き合ってしまうという。

瓜田がボクシングを続けた意味って何だったんだろう。いつも人に譲ってる人生の中で、勝てることの喜びを実感したかったからなのかな。

思い通りにならない人生、勝ちと負けがあって、勝ったからといって気持ちは負けな気分になることあるし、逆も然り。そういう一筋縄じゃいかない人生という勝負で、自分にとっての勝ちはなんだろう…っていう思いにさせられました。

松山ケンイチは美容院のシャンプー終わってオールバックになった時、やっぱかっこいいなと思ったし、話し方とか瓜田の性格にぴったりだった。柄本時生はあの弱弱だけどたまに見栄張っちゃう感じが、らしくて良し。東出はやっぱかっこいいし、桐島部活やめるってよの時と同じく才能あってモテる役似合うな。独身になってもっと味出てきたらいいなと思います。

木村文乃を後ろからあんなことしてみたい。
りょう

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