TaichiShiraishi

美しき誘惑 現代の「画皮」のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます


幸福の科学という偏見抜きに見れば、途中までは『黒革の手帳』的サスペンス、というか悪女がのし上がるピカレスクロマンとして普通に面白い。



ストーリーがどこに進んでいるのかはいまいち読みづらいが、それもサスペンスとしてはプラスだと思う。



何よりも主演の長谷川奈央のエロティックで知的な魅力がヒロイン・舞衣役にぴったりで、演技自体はベタベタでもそれが嫌にならない。



彼女の一挙手一投足、男の手玉に取り方が面白くて引き込まれる。



そして、いつの間にかそんな悪女の物語から、とある宗教に入れ込んでいる政治家の息子に主人公がシフトしていく流れもなかなかスムーズで面白かった。



ただ、信仰心が事態を打開する展開自体は映画の企画上仕方ないし、九尾の狐と悪女サスペンスをつなげるストーリー自体は悪くないと思うのだが、それが明らかになってからの後半の演出が明らかに雑過ぎ。



前半でも目立ってはいたが、時折入る劇中曲の歌詞(作詞:大川隆法)の歌詞があまりにもストーリーを直接的に説明しすぎていてクドいのと、だんだん増えてくるCGの演出がちゃちすぎて素直に楽しめなくなっている。



幸福の科学出資ならもう少しCGにお金かけることもできたのでは?今時あれはさすがにひどいし、それだけでなくグリーンバックでの人の動かし方も一番ダサさが際立ってしまうような演出になっていて、笑えるは笑えるが、ストレートには乗れない。



ラストのメッセージは宗教色は強いものの、道徳的には至極真っ当なのでそこは違和感がないが、もう少しサスペンスからファンタジーバトルへのグラデーションをしっかりしてほしかった。
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