キラリ

明日の食卓のキラリのレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
3.5
“僕はいい子じゃない。お母さんもいいお母さんじゃない。”

同じ名前、同じ年の息子を持つ3人の母親たちが、子育ての理想と現実に直面し、悩み苦しむ姿が描かれた作品。家庭内でそれぞれ抱えている問題があり、ある日を境に些細なことがきっかけで親子関係が崩れていってしまう。

私は未婚で子供がいない身だが、この映画を観た後正直なところ子供を産み育てることが怖くなってしまった。それが率直な感想。

実際に子育てをしたことがない私から見たら、虐待やネグレクトをする母親が信じられないし、ましてや実の子供を殺すなんて絶対あり得ないことだと思ってしまうけど、それも他人事だからなのかな。劇中に出てくるメイン3人の母親はそれぞれ取り巻く環境や境遇は異なるものの、皆どこにでもいそうなごく普通の母親である。虐待やネグレクトをしているわけでもない。でも、最終的にはどの母親が子供にいつ手をかけてもおかしくないほどに切羽詰まっていて・・・。子供は親が想像している以上に精神的に大人で、普段から親をよく見ていて、親に気を遣わせまいと思うあまり気持ちを押し殺して言いたいことも言えずに我慢し、しまいには「僕なんか産まれてこないほうがよかった」と言ってしまうほど追い詰められていく。それが劇中子供目線で語られていくのも何とも言えない気持ちになり、観ていて心が苦しくなってしまう。3人の母親を演じる女優や子役の演技力の高さも相まって、観ているこちら側も画面越しの母親や子供たちに感情移入してしまい、ものすごく辛くなってしまった。
キラリ

キラリ