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明日の食卓のKHのレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
4.5
原作が小説のため緻密な物語構成とミステリー的展開によって進んでいく事で物語としても面白く、演出や演技など含めて映像作品としてのクオリティも高い。
(尾野真千子のユウ君だけ多分文章だったら違和感ないのを映像にそのまま置き換えてる故、映像では浮いてるのが少し気になるが)

凄く重いテーマを扱いつつも読者や観客を惹き付けるストーリーにするため突飛な結末になってないのが良い。

3人のユウ君を基軸に話が展開し、環境も性格も全く違いまさに三者三様ではあるが、どんな形であれ子供の1番の関心はお母さんなんだと思う。
だからこそ子供にとって最後の1番の救済がお母さんからの眼差しでありハグなんだなと思った。

菅野美穂も尾野真千子も高畑充希も子役の子もみんな凄いけど、この映画で1番魅力的なのはやっぱり高畑充希だった。
高畑充希ってドラマとかだと、割とどんな役でも高畑充希が前に出てるイメージだったけど、こういう役柄だと高畑充希じゃなくて本当に別の人に見えた。
高畑充希のシーンは本当にどれもよかった。

3人のユウ君もみんなが見る飛行機雲もこの題名も、このことは決して特別な状況じゃなくて、この映画の延長線上には自分たちがいて、誰にでも起こり得て大なり小なりこういう出来事をみんな経験しているって事なんだと思う。こういう衝動的な暴力も映像が説得力になっているが故に観客も母親と同じ目線で悩むことで特別視されないようにしている。

この映画を見る限りでは、家庭に男性はもはや必要ないのではと思ってしまう。
女性の社会進出で経済的にもフェアになりつつある中で、男性が家庭の中で生きていくにはひと昔前の男性像でなく、感覚的にも行動的にも女性に近づくことが唯一の生き残り戦略だなと思った。
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