「悪いものが目に見えればいいのに」
共働き、専業主婦、シングルマザー。母親を経験している人は、3人のうち誰かに自分が重なるのかな。
“息子を殺してしまった母親”に自分が簡単になってしまう可能性が所々に潜んでいて、面会のシーンで『凶悪』という映画を思い出した。
言い方が難しいけど、尾野真千子演じるあすみだけは女性として個人的にどうしても好きになれなかった。息子との向き合い方、夫との関係性、義母やママ友との付き合い方。なんだか弱々しくて、言葉を選ばすに言うとダサい。あんな風にはなりたくないとさえ思った。
それに留美子や加奈の家庭、親子関係はまだ救いがあって感動もした。けどあすみだけは最後まで光が見えていない気がしてしまってなんだか心がスッとしない。
加奈が走って息子を抱きしめるところはすごく泣けた。子どもに愛を伝えるのにいろんな言葉ももちろん大切だけど、ぎゅっと抱きしめてあげるのってすごく大事なんだろうな。
全体を通して、子育てって怖い、子どもって怖い、母親になるのも怖い…という印象が強くて、あまり前向きになれる感じはなかった。
自分と血の繋がる子どもでも、どれだけ愛情を注いで大切に育てても、どんな風に育つかはわからない。親子だってあくまで別の生き物、別の人と人なんだなぁ。
