Melko

トキワ荘の青春 デジタルリマスター版のMelkoのレビュー・感想・評価

3.6
「あんたね、自分の好きなこと見つけられない人なんて世の中に沢山いるんだからね。ほとんどの人がそうなんだから。弘ちゃんはそれと出会えたんだから、幸運なんだよ?」

「気になり出したら眠れなくって」
「作り手って、そうゆうもんかもしれないね」

「ただの人真似しか出来ないようじゃ、田舎へ帰った方が良い」

漫画は個性。その人らしさ。

ずっと見たかった作品
トキワ荘の青春、原作は読んだことないし、トキワ荘ミュージアムにもまだ行ったことないのだけど、子供の頃に買ってもらった偉人漫画「藤子F不二雄」でそのエピソードが出てきたので、知ってはいた。
知ってる人、知らない人、その人の漫画を読んだことある人/ない人色々だけど、とにかくこのアパートが
漫画を描く人の青春であり、大切な通過点であり、人生で大きな意味を持つ場所だったことはわかった。

子供の頃の夢は、漫画家だった。絵を描くのが好きだったから。
でも、漫画家は
・頭が良くなくちゃいけない(=起承転結を考える)
・博識でなければならない(=色んなテーマを扱う)
・体力がないといけない(=座りっぱなし、徹夜もザラ)
なことに気づいて、諦めた。
絵を描くのが好きなだけでは、漫画家にはなれない。

この作品、面白いかと聞かれると、微妙かも。
何せ、主人公と取り巻く人々が「漫画家」
この種族は往々にして物静かで地味なので、物語映えするハプニングは日常的には起こりにくい。それでも、個性豊かな面々、たくさん珍エピソードがあったのだろうけど、コミカルさは2割程度に抑えられ、非常に真面目な作品作りとなっているため、地味、かつ眠い。

チャンスを手にする者、手にできず去る者
全編落ち着きまくった、言い方を悪くすればお通夜みたいな物語進行のため、個人的には期待外れな雰囲気だったが、役者の演技はなかなか凄かった。
主役なのに影のようなモッくん、その周りで爪痕残しまくった、劇団役者たち。
私的には、特に赤塚不二夫役の俳優の演技が光ってた。てか彼に限らず全員ご本人に顔が似てるんだよなぁ。それが地味にスゴイ。
阿部サダヲの藤子F不二雄も、もうそうとしか見えないし。

チームになって、ライバルな仲間がいると、頑張れるものなんだよなぁ
でも、ずっとそこにいては、自分の力が頭打ちになることもまた確か。だってバランスを取ろうとするもの。
高校生の時に友達と創作絵本リレーしたの、思い出したなぁ、懐かしい。

トキワ荘の良心、寺田が周りへかけ続けた言葉
曲がりなりにもモノづくりに従事してる身としては、自分の生み出すモノの子供への影響を気にしすぎる寺田の気持ちもわかるし、できあがった本を嬉しそうに眺める石森や赤塚の輝く目が分かる。

役者たちもさながら合宿のように演技の切磋琢磨したのではないか
ちょっとだけ、自分の明日を考えた
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