dm10forever

ロックバスターの男/倉庫で休暇を楽しみましょうのdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.6
【クソ、なんて日だ!】

コトゥーゲなら絶対にそう叫ぶであろう、そんな最悪な一日の物語。

明日から休暇という事で社員全員が浮かれ気分で退社していくなか、一人だけ残業をする哀れな主人公。中にはサーフボード抱えながら帰っていく奴もいる。
まさに「浮かれ方、この上なし」(笑)

どういった業種かはわからないけど、結構お洒落な雰囲気の職場であることがわかる。
でも、そういう「デザイナーズなんちゃら」みたいのって、スタイリッシュではある反面、どこか無機質というか人間の匂いや営みをあまり感じない佇まいでもある。

で、コトゥーゲ・・・じゃなくて、この主人公は、みんなが帰ってしまったオフィスにポツネンと残されてしまいます。

(はぁ・・・)

これまたお洒落なコーヒーサーバーからコポコポとコーヒーを注ぎゆっくりと席に戻る。
さ、一口飲んでまた仕事を・・・熱!!!
お約束通りにYシャツにコーヒーを目一杯こぼす主人公・・・・。

(クソ、何て・・・・いや、まだ言わない)

そう、ここから彼の不幸のドミノが始まる。
コーヒーのシミを落とそうと流し台のある保管庫へ入り、ゴシゴシとシャツを洗う。
(ふぅ・・・)
さて戻ろうかとドアノブに手をかけた瞬間、「スポッ」と抜け落ちるノブ。
(・・・・え?)

ここからあの手この手で脱出を試みる主人公をことごとく悲劇が襲う。
もうドリフのコントみたいに「ダメだって、そこ危ないって!」と教えてあげたくなる状況。

そうなんだよね~
きっと普段ならもう少し冷静に判断できるんだろうけど、ただでさえ残業でイライラしているところにトラブルの連続だから本人は相当頭に血が昇ってる状況。
そんな必死さが見えると逆に観ているほうは笑ってしまう。

ようやく見つけた脱出手段に「お、ついに来たか!?」と、何ならアクションヒーローのような無茶をしますが・・・。

シャツもズボンもボロボロになりながら廊下に出ると清掃のおっちゃんが「は?」って顔で立ってる。

「おったんか~~~い」っていう。

でも、彼は何一つ言わない。顔色も変えない。いや寧ろドヤ顔100%。
何故か満ち溢れる達成感。
背中で語る男の生き様・・・。

いやいや、もともとは自損事故でっせ、兄さん。

ほぼワンシチュエーションの中で俳優さんの独特の雰囲気がなんとも言えない空気感を醸し出す不思議な作品。
結構好きでした。
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