kmtn

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園のkmtnのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

野原家の感動回については、原圭一時代にやり切ったと思っているので、
個人的には春日部防衛隊がメイン回は、「アッパレ戦国」以降は当たりが多い印象。
例えばB級グルメや、カンフーボーイズあたりは名作。


今作も春日部防衛隊を過去最大級に前面に押し出した作品と聞いていたので、事前での期待値は凄かったけれど、見終わると「悪くはないけれど良くもない」という感想に。


「青春」という題材が根本的にクレしんには合っていないと思う。
何故なら彼らは幼稚園児で、いくら大人びているからとは言え、青春の酸も甘いを知るにはあまりに幼すぎる。
この題材ならまだ「ドラえもん」ののび太達でやったならば、小学校高学年というのもあるし、まだすんなり受け入れられた。


別にクレヨンしんちゃんに年齢を絡めたリアリティを求める訳ではないけれど、
少なくとも自分がクレしんに求めていたものは「青春」ではないのだなあと分かった。
例えば今回もそこそこ掘り下げられている、チシオや、サスガ、ろろなどの今作のゲストキャクターのみで「青春」を描き、あくまでしんちゃん達、いつものメンツは、彼らを手助けするメンター的な役割に徹したならば良かったかもしれないなと思う。
元々、本作の着想は「しんちゃん達が学生達に混ざるとどういうことが起きるのか?」という疑問からとのことであるが、
それならばやはり尚のこと、しんちゃんは彼らを引っ掻き回し、かつ導く様な役どころだけで十分だったように感じる。
しんちゃん達にも「青春」を託してしまったことにより、結果としてとっ散らかっているように思う。


ただ、ストーリーとしては相当チャレンジングで、
勿論クレしん的なギャグは満載ながら、後半まで一貫したミステリー物として描いており、この展開は過去作になく、29作目という超膨大な過去作品がある中で、相当攻めてるなあという感想を持った。


「カンフーボーイズ」でカンフー映画、「夕陽のカスカベボーイズ」でマカロニウェスタン、「アッパレ戦国」で時代劇など、
作品ごとで様々なジャンル映画に挑戦してきたエンタメシリーズであるが、
ここまで過去作品と差別化した作品はなかったはずだし、
今後のクレしん劇場版の可能性という意味では、後年に過渡期として語られる様な作品になるかもしれない(ニンジャ珍風伝を観ていないので、なんとも言えないけれど)。
でも正直に言うと、ちょっとアニメスペシャルみたいな感じのテイストの作品だとも思う。


やはりやるからには劇場版に相応しい事件の規模が欲しいなーとも思うのはわがままかもしれない。
とは言え、前作の「ラクガキキングダム」は劇場版らしい大きな話だったけれど、個人的にはあんまりだったので、なかなか丁度いい塩梅というのは難しい。
とにかく今後のしんちゃん映画の未来を占う上で、非常に重要な一作になるのではないかなと。そんな一作でした。
kmtn

kmtn