TaiRa

ハウス・オブ・グッチのTaiRaのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
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キャンプな『ゴッドファーザー』目指してんのがウケる。ガガは「女優」やってた。

『ゲティ家』『決闘裁判』に続く実録家系シリーズとして観た。濃い目の役者力で笑わせるタイプ。役者のアドリブも多いらしいし、作り方はコメディのやり方。18世紀頃まであった即興風刺喜劇=コンメディア・デッラルテの影響もあるそうな。ジャレッド・レトなんかもうふざけてんのかってレベル。あんなんコントに出て来るイタリア人だもん。バカバカしいお家騒動とシリアスな悲劇、ある部分では幸福な瞬間も交えて喜怒哀楽が混在する。パトリツィアとマウリツィオの出会ったばかりの頃のデート風景なんかは可愛らしいし、トラック会社勤務で一般人として暮らしたマウリツィオの幸せな姿は、その後の悲劇を知っていれば切ない。セックス描写は『決闘裁判』の反動か、ギャグに振り切ってて爆笑した。没落する一族を彩るチャラいポップ・ミュージックも過剰で良い。スタイルはスコセッシのパロディみたいだし、どっかで安っぽいコッポラって感じもあって面白い。リドリー・スコットなりのなんちゃって感。改めてレディー・ガガって良い女優だなって思ったし、アダム・ドライバーって名優だなって思った。冒頭とクライマックスで見せる、日常の中のマウリツィオの安らぎをアダム・ドライバーが良い芝居で見せてくれる。マウリツィオにとっては終始不憫な話だし、本物のパトリツィアはもっとエグいらしいけど、ガガのお陰で厭な要素以外の印象も抱けて、何だかんだ可哀想な話だなってなるバランス。トム・フォードが今時珍しいくらいゲイゲイしく描かれてて笑った。
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