バランシーン

ハウス・オブ・グッチのバランシーンのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.7
率直な感想は「女優レディ・ガガ、いいじゃん!」
彼女の出演作を観るのは初めてなので、野卑だが野心を持ち、若くしては魅力的な、後には壊れていく演技は全然アリだなと。ひまわりのソフィア・ローレン感ありましたよ(ちょっと言い過ぎ?)。

パトリツィアいなくても、グッチ家自体は遅かれ早かれ滅んだ(同族経営は行き詰まっていた)でしょうし、最後の字幕解説(ドメニコ・デ・ソーレらが経営を引き継ぎ、今や時価総額6000億ドル云々)が現グッチの見解を象徴してて、アホなグッチ一族からプロの経営者が買い取ってグッチブランドは救われましたよ、ってなもんですもんね。
僕的にはマウリツィオ(アダム・ドライバー)視点で途中から没入しました。
巨万の富のある一族の後継者。なに不自由のない生活。でも致命的なことに経営の才覚がない。しかし相対的に自分がこの巨大組織の舵を取っていくしかない…。ある意味、自分の分を知っていれば地獄。しかも、最もプライベートな恋愛ですら、自分に好意をもってくれているのか、グッチという名前に惹かれているのかわからなくなる。
組織を統括していく以上、プライドは持たねばならず、ラストでそのプライドを粉々にされ、文字通り死地に赴く彼は本当に気の毒というか、人間何が幸せなのかわからないですね。悲劇だと思います。

160分間延びすることなく、テンポの良い演出はさすがリドリー・スコット!80超えてますよね⁇凄すぎるなぁ。アル・パチーノもクセ強のイタリア人をやらせたらやっぱり良くて(笑)オッサンたちはやりたい放題で楽しそうでした。レディ・ガガのキャラの作り込みはもう少し丁寧でも良かったかなと思いましたが、そこまでやったら尺240分コースですもんね(笑)それはないものねだりか。
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