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バズ・ライトイヤーのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

宇宙が舞台である一番の特権というかIMAXの没入感はさすがだったし、バズの目尻のシワとかミートサンドイッチの質感のリアリティもさすがのピクサーだった。
超高速するたびに時間の経過がついてこれなくなって人間世界と帳尻合わなくなるアイデアが面白くて、アリーシャとの友情関係の走馬灯シーンは切なくも感動した。なんだけど、その前半の超高速飛行が成功するまでのテンポはすごい良いんだけど、なぜかそんな尺もないのにやけに後半グダッとして感じた。メイキングを見るとディテールのこだわりについての言及がやたら多くて、監督が幼少期の白雪姫の劇で舞台衣装に凝りすぎたエピソードも話していたけど、もしかするとディテールにこだわりすぎてストーリーがふわっとなったんではと勝手に予測した。

ラストでスペースレンジャーに戻った理屈とか、結局T'KaniPrimeってどんな惑星でどんな生物が繁栄してるのかとか、問題解決の爽快感とかがちょっと感じにくいというかなんか不完全燃焼で、イジーの覚醒も、もう少しベタにわかりやすく、遂に!感があっても良いような気がした。地球へ帰ることをそんなぬるっとやめちゃっていいのか…。せめて一旦帰ってみてやっぱりっていう展開でも良かったような…。スペースレンジャーに戻ることが何よりの喜びなのはわかるが、60年以上テスト飛行にかけたんだから、そんな感じで良いのか感は若干拭えない。

ピクサーなのであくまで子供向け要素が前提としてあるんだと思うけど、全面的に割と大人向け前提なような、この感じを子供が飽きずに楽しめるのかなとは少し思った。でも大人向けと言い切るにしても設定がフワついてるところがあるので謎のバランスになってる。あと、問題解決に際してバズたちはプロとして宇宙にいるはずなのに、もしもソックスがいなかったら何もできないのではと思うところがままあった。バズのサバイバル能力をもう少し堪能したかった気もする。そういう面では何事にも諦めなくてそつなく問題に立ち向かうこれまでのトイストーリーでのイメージと、今作のバズを比べるとちょっとギャップを感じるかもしれない。今作はリアルなバズの話だから弱いところがあったり人に助けを求めたり少々人間臭いのは仕方ないというか当たり前だとは思う。と思っていたら、メイキングではっきりと「別物」と何度も言っていた(もっと宣伝で別物と謳った方がいいと思う。)。なのであの「トイストーリー」のイメージをがっつり脇に抱えて見ると裏切られると思うので、脳みそを空にして見るのが良いかもしれない。なにせ私自身がトイストーリー全シリーズを前履修して意気揚々と見に行ったタチなのでイメージを空にしてもっかい見たい気持ちになってる。
自分を殺す(死んでなかったけど)という、まあまあグロテスクなオチは、敵への制裁が辛辣だったトイストーリー1〜3の系譜を感じた。

個人的には鑑賞前からクリスエヴァンスの声がキャップとバズのキャラクターに通ずるところも感じてぴったりだと思っていたが、実際見てみると前から演じてたんかというくらいバズの声に馴染みすぎていた。
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