MasaichiYaguchi

さつきのマドリのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

さつきのマドリ(2021年製作の映画)
3.5
恋人を探すことは賃貸を探すことと似ている。
世の中には多くの賃貸物件があって、人はその中の一つを選ぶ。
同じように世の中には魅力的な異性がいて、普通はその中の一人を恋人として選ぶ。
「アルプススタンドのはしの方」の平井珠生さんが映画初主演を飾った本作では、「条件に合う理想の人を見付け、彼女となり、結婚すれば、人は幸せになれるのか?」をテーマに、平井さん演じるさつきの数日間がコミカルに描かれる。
俗に言うアラサー女子のさつきは、“見映えの良い”男子を捕まえて「ゴールイン」を狙っているのだが、本人の思い込みが強くて相手のことが見えておらず、結局取り逃がしてしまう。
そして賃貸案件の窓口の仕事の方も、顧客の表面上の希望をなぞるような応対をしていて、その“本音”を引き出して商売に結び付けることが出来ない。
公私共に行き詰まってしまったさつきは困った時の神頼みよろしく、“男を見る目”、幸福を引き寄せる力をお願いする。
そのことによって、さつきに不思議な能力が宿ることになる。
このさつきの不思議な能力の見せ方が面白く、本作の魅力になっている。
男を独特な視点で“値踏み”するのだが、私達の時代には理想の男の条件で高学歴・高収入・高身長という「三高」があった。
今では「三高」は死語になっていて、近頃は「三NO」男子の方がモテるらしい。
この「三NO」とは、暴力しない、借金しない、浮気しないという“ノーリスク”男子を指す。
確かにいくら「三高」でもマザコンで、家庭内DVをするような夫なら願い下げだ。
果たしてさつきは、公私における良い糸口を見出だせたのか?
人でも仕事でも数値ばかりで判断していたら大きな過ちを犯す。
何事も「百聞は一見に如かず」なのかもしれない。