るるびっち

モーリタニアン 黒塗りの記録のるるびっちのレビュー・感想・評価

3.6
『ミッドナイト・エクスプレス』(1978年)という映画があった。
麻薬所持で捕まったアメリカ人男性が、地獄のようなトルコの刑務所から逃げ出す話だ。
当時、恐ろしいのはアメリカ以外の国だった。
今は外国人が、アメリカの不法な収監地獄に遭う。
恐ろしいのは、他国ではなくアメリカ本国へと逆転したのだ。

違法な拷問や収監の実態を暴いた本作。
正義という名の下、平然と法律は破られ人権は剥奪される。
中世の魔女狩りに戻ったような後退ぶり。
それでも、法治国家であるため証拠文献は残っている。
請求しても簡単に閲覧できないが、残ってはいる。
真っ黒に塗りつぶされた資料を見ると、どこかで見た光景を思い出す。
我国も森友・加計問題として、塗りつぶされ改ざんされた資料が出てきた。
合衆国は違法な拷問や不正をしても、資料は残っているようだ。ギリギリ法治国家としての体をなしている。
しかし、日本は破棄したりシュレッダーにかけたと誤魔化す。
どうやら法治国家ではないらしい。
アメリカ人は本作を観て、自国の歪んだ姿に慄然としただろう。
それでもちゃんと証拠資料を残して、後からでも不正を糾弾できるアメリカを羨ましく思う。
本作を観て、アメリカ人以上に気が滅入るのは日本人だろう。
自民党をシュレッダーにかけた方が良い。
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