Mariko

モーリタニアン 黒塗りの記録のMarikoのレビュー・感想・評価

3.9
"This is a true story."
9.11同時多発テロの首謀者として、事件から2ヶ月後の2001年11月、モーリタニア人のモハメドゥ・スラヒは米国政府に捕らえられ、グアンタナモ収容所へ収監される。

この弁護を引き受ける弁護士(ジョディ・フォスター)、起訴する立場の軍の検事(ベネさま)がそれぞれに矜恃を見せるのが素晴らしい。けれど、「映画」として観るとこの二人、そしてスラヒ演じるタハール・ラヒムの三人の演技で保ってるようなもので、演出としてはどうかな、とは思った。思いつつも、この事実があまりに凄いのでドキュメンタリーを観るような心持ちで息をとめながら観てしまった。事実を伝える、という意味でこれで良いのだと思う。

そして、作品よりもこの事実に思いを馳せてしまうわけだけれど、このスラヒは14年間収容され、筆舌に尽くし難い拷問を受け、釈放されたのが2016年。この世界は、魔女狩りがさかんに行われていた中世から何も変わっていないのではないかとの念を強く抱かざるを得ない。
エンドロールで見るご本人の明るさに救われた思いにもなるけれど、こんなにも強さと明るさを持った人だからその年月を耐え抜いたけれど、そうでなかったらどうなっていたのか、ということも考えてしまう。
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