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モーリタニアン 黒塗りの記録のmasaccoのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

9.11容疑者として証拠も裁判もなく14年間グアンタナモ収容所に拘束された男の手記に基づく実話。
人権侵害の弁護士にジョディ・フォスター。テロ容疑者を弁護することで非難を受けつつ「無実かどうかは関係ない。誰にでも弁護を受ける権利がある」と冷静だが、終盤、手記を読みながら、恐怖とも怒りとも言えない表情がすごい。
政府側の起訴担当者にベネディクト・カンバーバッジ。テロ関係者は死刑に値するが、誰でもいいというわけではない、証拠が必要だというフェアな立場。
政府が出し渋っている機密文で、取り調べの状況が詳細に記されているという「MFR」にたどり着くまでの過程がスリリング。
手記と「MFR」から明らかになった拷問の様子が恐ろしい。辛い姿勢での放置、大音量のデスメタル、光の点滅、低すぎるエアコン設定など地味だけど辛い。もちろん、水責め、殴る蹴る、レイプなどハードな拷問も実話だそう。
朦朧として幻覚を見て、事実ではないことを自白してしまう様子の演出も良い。
原作者で容疑者だったモハメドゥ・スラヒ氏を演じるタハール・ラヒムがほんと素晴らしい!知的で愛嬌があり誠実そうなところが好きになっちゃうので、数々の拷問シーンは感情移入し過ぎて見るに耐えなかった。
法廷での証言も感動的だった。「“自由”と“許し”はアラビア語で同じ語。(あなた方を許すことで)拘束中でも自由になれる」「判決が、恐怖ではなく法の支配によることを信じる」という感じのところが印象的だった。
ラスト、判決後の処遇もなんで?って感じ(事実)だけど、今のモハメドゥ氏が元気で幸せそうで良かった。
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