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モーリタニアン 黒塗りの記録の010101010101010のレビュー・感想・評価

3.8
悪名高いグアンタナモの実態。
常々、「自由」と「民主主義」の「正義」の国、アメリカこそが最も野蛮な国家だと感じているのだが、本当にありえない、ありえてはいけないような事実を告発した作品。
こういうことが、国家によって容認されているということ。

しかし、である。
日本にも幾つもの冤罪事件がある。今現在も、100歳を過ぎても闘っている人、当人が亡くなってなお闘われ続けている事例があり、ノンフィクションの本やドキュメントで知れば知るほど、権威者側はどこの国でも犯人をとにかくでっちあげること(そこに差別ーー部落差別、人種差別ーーも絡んでいる)に心血注ぎ、どれだけ苦し紛れでもその非を認めようとはせず、仮に判決で非と出ても謝罪しようとしない。
黒塗りの記録も、どこの国も一緒なんだな。
心底、腐っている、と思う。

それでもなお、法廷の場にて、最後、許そうと思う、と言った主人公の凄まじさ…、まさに信仰の深さなのか…。ちょっと凄すぎる…。こんなこと、本当にあの場で言ったの?! 恐れ入る。
ある水俣病患者の方が、「わたしはチッソを許すことにしたばい」と言っていたことをも思い出す。(水俣の問題の場合、何十年と裁判で闘ってきて、何の誠意も見せてくれない長年「憎んで」きた相手・会社が相手であったり、状況は微妙に異なるとはいえ…)。
「許す」という問題については、哲学者ジャック・デリダのことなんかも思い出すが、いやはや…。

いろいろと、今現在もこれに近いことは行われているのだろうと想像する。
それをいかに、自分が生きといるのと同一平面上のこととして捉えることができるかを考える。