たむ

La sonate à Kreutzer(原題)のたむのレビュー・感想・評価

La sonate à Kreutzer(原題)(1956年製作の映画)
3.5
エリック・ロメール監督の最初期の短編映画です。
修作ですが、トルストイ原作というところが、最初期から只者ではありません…。
サイレント映画のスタイルにナレーションをかぶせているサッシャ・ギトリ監督の演出を引用して夫による妻の殺人事件を描きます。
主演もロメール監督、『吸血鬼ノスフェラトゥ』のような狂気が見え隠れします。
サイレント映画のスタイルなので、表現は非常に古典的で、のちのロメール監督もバカンス映画とは違う雰囲気です。
サスペンス映画としてナレーションと起きている状況をぶつけることで、第3の意味を描き出していくあたりに、評論家出身のロメール監督らしい映画史への目配せがあります。
ゴダールさんなども出演しており、ロメール監督同様なかなか大袈裟な演技を見せてくれます。
憎しみが積み重なっていく心理描写、行動と心の乖離など、面白い表現の映画ですね。
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