ぶみ

TUBE チューブ 死の脱出のぶみのレビュー・感想・評価

TUBE チューブ 死の脱出(2020年製作の映画)
3.0
地獄の迷路を突破せよ。

マチュー・テュリ監督、脚本、ガイア・ワイス主演によるフランス製作の脱出スリラー。
謎のチューブに閉じ込められた女性が、脱出しようとする姿を描く。
主人公となる女性・リサをワイスが演じているほか、冒頭彼女をクルマに乗せる男・アダムをペーテル・フランツェーンが演じており、登場人物は基本この二人のみ。
物語は、路上に横たわっているリサを、クルマで通りがかったアダムが拾うシーンでスタート、その後、気づくと、謎の狭い空間にリサが閉じ込められており、そこから脱出しようとする様が描かれるのだが、原題である『Meandre』の直訳が、蛇行や迷路という意味になるのに対し、実際にリサが閉じ込められた空間は邦題であるチューブというよりも、ダクトに近いものであるため、脱出スリラーの名作であるヴィンチェンゾ・ナタリー監督『キューブ』を意識した題名であることは明らか。
この手の脱出スリラーは、様々な仕掛けと、なぜ閉じ込められているのかという不条理さが肝となるのだが、仕掛けについては、ダクト内という狭い空間というだけで、閉所恐怖症を煽ってくるものであり、なおかつ、身動きが思うように取れないことから、基本前に進むしかない中、水あり、火あり、時間制限あり、そしてループありという展開は、強制スクロールだったファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』の地下ステージかのよう。
そして、もう一つの、なぜ閉じ込められているかについては、なかなか難解であり、徐々に話が進むにつれ、一体これは何を見せられているんだろうと思うとともに、ラストシーンに至っては、あっけにとられてしまうものなので、その結末は、ぜひその目で確かめてほしいところ。
ラストに向けて解釈が難しくなってしまうのが難点ではあるものの、脱出スリラーとして悪くない出来栄えであるとともに、右方向スクロール&基本覚えゲーの主人公となるマリオの大変さがわかる一作。

人は誰しもずっと孤独なものだ。
ぶみ

ぶみ