このレビューはネタバレを含みます
歌の力は偉大。鳥肌が立つ場面がいくつもあった。中村佳穂の揺らぎがある、だけど力強い声は、主人公すずのキャラクターを象徴していた。もちろん歌以外にも、鳥肌が立ち涙腺が満たされる場面はいくつもあった。特に、お父さんとスズが交わす夕飯のやり取りには、切なさを感じ、バスで上京するスズとのやりとりは嗚咽しそうなくらい、胸が苦しかった。隣の人の鼻をズルズルする音で、そうはならずに済んだが。
未来的世界"U"と高知の田舎風景が交互に映ることで、この世界は単なるSFではなく本当の近い未来なのだと感じた。構成としては、美女と野獣、千と千尋と同じく、純白な美少女と心に傷を負った獣の愛の物語。竜がBellを守った時は、ハクを思い出した。細田守さんの作品は、要所要所でジブリDNAを彷彿させ、隠れミッキーを見つけたような優越感に浸らせてくれる。