映画好きの柴犬

竜とそばかすの姫の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.2
でも、次回作は女子高生の普通のラブストーリーを希望

 インターネットの仮想世界Uで歌姫ベルとなった高校生鈴(中村佳穂)が、忌み嫌われる竜(佐藤健)という存在と出会い、救おうとするSFファンタジー。

 「美女と野獣」をモチーフに、女子高生×ネット×家族を描く細田守監督の集大成。例によって賛否両論巻き起こしているようだけど、細田守監督作で最もパワーのある作品であることは間違いない。実際、ストーリー展開はかなり強引で、Uの設定や世界観も謎だらけ。しかし、高知の自然とUの仮想世界の両極端のビジュアルと、何よりスケール感に溢れた楽曲の力で、物語に引き込んでいく。少なくとも「未来のミライ」や「バケモノの子」の時のように、モヤモヤ感が先に立つことはなく、見終わった時にもう一度この世界に浸っていたいと思えた。

 まあ、ツッコミどころはいろいろあるが、高知県民としては、高知の見覚えのある風景なのに誰一人土佐弁を喋ってない、登場人物に高知ローカルな苗字を多数使っておきながら「べっちゃく」を「べつやく」と読ませるのは詰めが甘い、の2点は突っ込ませてもらいたい😁

 「時をかける少女」を彷彿とさせるシーンがいくつかあったが、細田守監督は、伊野駅での告白シーンとかの、適度にアニメ的にデフォルメされた掛け合い演出は本当に上手い。中村佳穂、幾田りらのアーティストコンビは、うまくはないがキャラに合っていて違和感なかった。