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竜とそばかすの姫のこのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

駄目でした。駄目だと思ったポイントは多くの人が挙げていることと一緒なんですけど、書いてみます。

①"U"という世界が何をするところなのかよく分からない
→ビジュアルはとても良かったと思います。でも、映画観てるだけだとみんなアバター作って流行りの歌聴いてるだけにしか思えずそれ以外なにしてるか分からない。あれで全世界50億人のユーザー獲得できるか?って思ってしまった。

②すずが竜の正体を知りたいと思う動機がよく分からない
→言葉通りですね。確かにUの世界の中で注目を集める存在なんで誰なんだ?って気になるとは思いますけど、あそこまで危険を冒して知ろうとする理由が描かれてないように感じました。なので竜が出てきてから何の話をやってるのか分からなくなってくる…。

③竜の目的について
→竜の正体である恵くんは父親から虐待を受けており、また弟もいる。その弟くんに少しでも希望を抱いてもらうためにUの世界で戦ってるわけですけど…いやでもUの世界でやってることって過激なまでのファイト行為で何なら垢BANされてもおかしくないレベルなわけで、実際批判されてるし…。なりふり構わず暴力を振るってくるという意味では父親と同じなのでは…それでいいのかと思ってしまった。

④終盤のすずが恵くんと弟を助けに行くくだり
→これがやっぱり1番ダメだろうと…。1人で行かせるのどう考えてもおかしいだろ…。ネットでいくつか考察を読んだ中で、ナガさんという方がこの展開について書いていた文章がなんとなく腑には落ちた。

要約すると、「虐待問題」というどう考えても一個人が解決できないよう問題でも、いま私たちが生きるこの現実社会では自己責任論が蔓延しており、公的組織や制度はその役割を背負っていない(もしくはきちんとその役割を全うしていない)。誰か個人が無理やり解決しなければならないようなこの現状をあえて描写したのではないか、という考え。実際、知り合いが虐待を受けていたとして、それをどこに通報すれば助けてくれるかも知識として知らず、また通報しても助けてくれず、一個人がなんとかしようとしたというのは現実にあると思う。

しかし、であるならばすずの周りの友だちやすずが小さい頃から世話をしてくれていたあの5人のおばさん達の存在の意味が分からなくなってくるのである。あれは何なのだろうか、「結局、ふだんは優しく面倒を見てくれてても有事の際には他人は助けてはくれない」ということが言いたいのだろうか?残念ながらそれは事実であるとも思うが、それを描きたくてああいう展開にしてるのだとしたらエグすぎる…。

④まとめ:全体的な脚本の不備
→上に挙げた3点も含めて、全体的な脚本のお粗末さが最後までノイズに感じた。すずのストーリーと竜のストーリーも関連性がよく分からないし、『美女と野獣』の要素ってお城で2人が踊る一連のあのシーン自体にしか無いと思うんですよね。そこらへんもよく分からない…。


自分としては今年の断トツワースト作品になってしまったのですが、逆にここまで歪な作品をパッケージ上は爽やかな夏の青春映画っぽく公開されてるのが面白くもあり、また気味が悪いとも思いました。
こ