映画太郎

竜とそばかすの姫の映画太郎のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.8
「時をかける少女」は筒井康隆の同名小説を初めてアニメ化した。「サマーウォーズ」は「デジモンアドベンチャー」のセルフリメイクと言える。「おおかみこどもの雨と雪」は、ほとんど「北の国から」。「バケモノの子」は、「西遊記」との関連性が見て取れ、クレジットに参考資料として「悟浄出世」が上がっている。「未来のミライ」は監督自身の子育ての経験が生かされている。

「竜とそばかすの姫」は、細田監督自身が明かしているように、「美女と野獣」をモチーフにしている。

竜とベルの関係はもちろん、ディズニーに怒られないのだろうかと思う程そのまま持ち込んでいる。ただ、伝えたかったのは「二面性」だろう。ネットの顔と現実の顔を持つ事ができる現代では、それがメリットにもなるし、デメリットにもなる。ネットでは見ている物全てが、必ずしも真実とは限らない。本人の前で言えない事も、匿名のネットでは何でも言えてしまう。ネットの向こう側にいるのは生身の人間だと言う事を誰もが意識するべきだ。

とは言え、終盤に虐待の話に切り替わってしまうのは違和感を感じる。それこそ「U」の住民達の連携でもっと早く行動する展開もあったように思う。無責任な誹謗中傷や、歪んだ正義感、ただ騒いでいるだけのオーディエンス達が、時に団結して現実の人を救う事もできるはずだ。「サマーウォーズ 」はまさにそれを描いていたのだから。
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