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竜とそばかすの姫のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

真実の愛を見つけなければ魔法が一生解けない野獣、野獣に囚われの身となるベルとが共に時間を重ねることで惹かれ合うラブストーリー...というのが一般的な「美女と野獣」の捉え方であろう。

しかしその「美女と野獣」を下敷きにしながらも、仮想空間における”美女”が”野獣”を最終的には実空間において(児童虐待から)助けるという人助けの話になっていて、なぜ母親は知らない女の子を助けて水難事故で亡くなってしまったのか?という冒頭の問いに答える構造に。ただ、幼馴染のしのぶ君がラブストーリーへのミスリードになっていたり、年齢差のある男女間の仄かな惹かれあい要素も(おばさんのオハイオの思い出とかでも語られ)無くは無かったりで、何やらいろいろ渋滞気味。

しのぶ君はてっきりカッコいいやつかと思っていたら「素顔を隠したままで何が伝わるっていうの?」とかなかなかに昔の男でややガッカリ。すずにしても、しのぶ君にベルバレした時だったり素顔で歌えと言われた時だったりだいぶ挙動不審で共感できず。すずの友達にしても、素顔を晒すという話に対して「ダメな自分に戻っていいの?」とか言っていたり、もう何が何だか、どこから話を整理したら良いのかもうよく分からんという状況に。

そもそもなぜ、ベルが竜に惹かれたのか?がよく分からない。生体情報を持ち込んでいるから生理的に惹かれた...ということなのだろうか。にしても、イヤーピースだけで視覚や身体所有感を上書きできるってかなりヤバいデバイスであるのは間違いない。

あと、AS(アバター)が使われる仮想空間においては、見た目はあまり問題にならないだろうと個人的には思うので、竜のことを醜いと蔑むバッシングには激しい違和感があった。※むしろ、Uにいない実空間においてルッキズム強化してクソ社会度を高めて対比させても良かったと思うが、監督の狙いはUでも実空間でもそれは地続きだということだったのだろうか。ただ、すずはそばかす程度でさほど醜さを気にするわけでもなかったのでその辺の狙いもよく分からず。「ルカちゃんは足が長い」とかセリフはあったが、作画的に登場人物みな足が長くて、見てるこっちが劣等感に苛まされました。

バーチャル空間自体はチップの中みたいな世界設定で面白味に欠けていたのも残念。ベルのライブにしてもFortniteでのトラビススコットライブの方が演出的に優れているように思う。

1点、バーチャル空間における警察機能としてUnveilという身バレ強制が設定されていたのは面白いと思いました。
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