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竜とそばかすの姫のRAMPOのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.8
最近、とみに涙もろくなってて。
Uと呼ばれる広大な仮想空間を雄大に遊泳するクジラ、その鼻先で歌う歌姫、まるでアイドル歌手の衣装チェンジのような演出、熱狂する億人超えの観衆、圧倒的なビジュアルと音響にオープニングからやられました。

その正体が何処にでもいそうな普通の女子高生、むしろ地味で内気な陰キャと知ってるから余計に、多くの人々を魅了するその歌声、その姿に、それが描かれた印象的なシーンに思わず何度も涙が込み上げそうになりました。

ストーリーの方は仮想空間Uでの出来事と実世界での主人公の日々の生活が描かれますが、ある時にUに暴虐な「竜」と呼ばれるAs(アバター)が現れたことから、これを捕えようとする自警団と、その正体に興味をもった主人公とが関わっていくことで展開します。

ネタバレは避けたいので、深くは書けませんがUに竜がそのような存在で現れた背景には、現実世界での問題が大きく関わってました。

…これがいけません。

その“問題”自体は、本作に限らず実社会でも大きな問題となってますから、あぁなるほどって感じで違和感ないのですが、だからこそ、いやいやそんな一普通の女子高生がどうにか出来るものじゃないですよねって感じてしまう。その方法(問題解決のためにとった行動)も含めて、結局、フィクション、ファンタジーだなと強く感じさせてちょっと醒めさせられました。

せっかくのクライマックスの盛り上がりも、それ自体に意味がある訳じゃなくて、現実の行動につなげるための前座でしかないし、それによってこの仮想空間U、そして主人公のAs、ベルという存在の役割も終わってるし…。

どのみちフィクションで押し切るならば、もっとUの仕組みや他のAs達との関係、特にほぼ使い捨ての自警団ジャスティン辺りを上手く使えば良いのにと感じてしまいました。
まぁそうすると「サマーウォーズ」二番煎じになるので避けたのかもしれませんが。

あと、本筋とは関係ないかもですが、声優の豪華さ(特に主人公すずの所属する合唱サークルの方々)にエンドロールで気がつきました。
よく集めたものです。それだけに合唱シーンがあまり無いのは勿体ないと思いました。
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