ユージーン

竜とそばかすの姫のユージーンのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

 中村佳穂さんの歌はすごくいいです。ハスキーな声も楽曲も素晴らしく、胸に響きます。

 作画も高品質でした。現実世界は2Dで、仮想世界のUは3DCGと、2つの世界を別々の画で表現しているのも良かったと思います。

 しかし、あまりにも、脚本がとっ散らかっている印象が強くて、素直に賞賛はできません。いろいろなテーマを組み合わせようという意図は伝わるのですが、まったく咀嚼できていない感じでした。

 設定にも、いくつか気になる点がありました。

 まず、
 仮想世界であるUが、だいぶ都合の良い作りになっていたのが気になりました。
 U専用のデバイスで、使用者の脳波やら神経系を利用して、アバター(AS)である自分を操作する、といった描写がありましたが、話の後半では、仮想世界にいながら現実世界でもガンガン走り回ったりしていたので、それに違和感を覚えました。
「レディ・プレイヤー・ワン」のように体を固定しておくなり、「ソードアート・オンライン」のように現実ではまったく動かないかのどちらかにしたほうが、わかりやすくて現実的だったと思います。

 また、話の肝となる、アバターに使用者本人の生体情報が反映される、というのも、結局どういったことなのかが、いまいち謎でした。生体情報というよりも、むしろ精神性、あるいは自己の認識がアバターの自動生成に反映される、みたいな描写があったかと思えば、写真から姿をスキャンするような描写もあって、結局どっち? と混乱しました。

 アンベイルのシステムも、ピンときませんでした。アンベイルされると、Uの世界でアバターが消えるだけでなく、ネット上に使用者本人の姿が晒されるというのは、もう、現実と仮想の区別がついていない発想にしか思えませんでした。
 vtuberが、専用の機材やアプリをつけ忘れて撮影した、みたいなことを表現したかったのでしょうか?
 
 そういった、設定上の粗も気になりましたが、無理くり感動に持っていこうとする終盤も、謎な展開が多く、萎える一方でした。
「美女と野獣」の要素も、要らなかったと思います。