細田守監督の最新作。劇場で見逃し、というか色々な噂から正直避けていました…
高知に暮らす女子高生。幼い時に母親を事故で亡くし、そのショックで塞ぎ込み、好きだった歌うことが出来なくなる。ある日、親友に「U」と呼ばれる仮想現実の世界に誘われると…
映像は素晴らしいし、歌も悪くないのですが、脚本が絶望的にダメなんです。
父親、親友、幼馴染、学校一の美少女、インターハイ出場の体育会系男子、母親の友人達、多くの人に見守られて、リア充にも関わらず、それに気が付けていない主人公。
母親の喪失から立ち直り、成長する様を描きたかったと思いますが、主人公を取り巻く人物たちの描き方が希薄すぎて、何で成長に繋がっているのかが理解出来ません。
親友のヒロちゃんが何故あれほどのインターネットギークなのか?
しのぶくんは何故すずがベルと分かったのか?
ルカちゃんが何故カミシンのことを好きになったなのか?
合唱サークルのおばちゃんたちは何故すずをひとりで東京に行かせたのか?
枚挙にいとまがありません。
正直、ここまで心が何も動かない作品も珍しいです。
さらに言うと、竜の弟が軽度の障害者として描かれていますが、だからDVを受けても仕方ないというような、あまりにも安易な描かれ方をされていて、正直嫌悪感を覚えました。
現実の世界はそんなに安易ではなく、複雑で理解し難いことだらけなことを受け止められていないのではないかと思われます。
「おおかみこども」までは悪くなかったので、もう細田守は脚本は止めて、監督業に専念したほうが良いと思いますが…