ポルりん

竜とそばかすの姫のポルりんのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

■ 寸評

設定はかなり壮大でそれをアニメーションで上手く表現しており、パッと見は如何にも大作らしいものに仕上がっているが、中身はものすごくしょぼく、映像と中身がマッチしていない。
何だろう・・・この作品を観てKOTY2010大賞の「ラストリベリオン」をイメージしたのは私だけだろうか・・・。


■ 演出(アニメーション)

文句のつけようがないくらい素晴らしい。


■ 設定

もの凄い壮大な設定で興味深いものになってはいるが、色々と説明不足と感じる。

耳に装着して仮想世界に行ってるように見えるが、装着した人は普通に現実世界でも走ったりと行動している。
一体装着した人の目にはどういった光景が映っているんだ??

それとあの世界では何が出来て何が出来ないのかがいまいち分かりにくいし、みんなが何故あの仮想現実にハマっているのかが理解出来ない。
皆が仮想現実に興味が持つのは、現実世界の逃避や仮想現実で何かしらの行動をしたい、違う自分になりたいといった願望だと思う。
だが仮想現実では、竜や自警組織、そしてベル以外はみんなプカプカ浮いて、文句を言ってるだけ。
もう現実世界と何も変わらないじゃん!!
むしろ、ある意味本当の自分の姿をさらけ出してしまう分、よりあの世界に行く意味がない気が・・・。

あの世界に行くことで、システム上で何か現実世界では出来ないことを描いてくれればまだ納得いくのだが、それも特に描いていない。

一応「美女と野獣」のパクリの部分で、竜とベルの衣装が変わったり色々なギミックを見せてはくれるが、一般ユーザーは誰もそれらを使わない。

一体みんな何しにこの仮想現実に来てるんだ?

Twitterでいいじゃん!!!


■ 脚本

まぁとにかく酷いの一言・・・。
細田守監督だから期待はしてなかったけど、まさかここまでとは・・・。

肝心な部分を描写していない割には、物語の進行に不必要な部分は無駄に描いているし・・・。


個人的に一番酷いと思うのが、ベルが素顔を出すくだり。
ぶっちゃけ、竜本体を虐待から救うんだったら虐待の部分を録画してんだから、証拠映像を警察に連絡すれば済む話なんだけどさ。
まぁ映画的に盛り上がりに欠けるだろうから、素顔をさらすのはいいけどそこで歌うのは意味が分からない。

そこは歌うんじゃなく、虐待の証拠映像をみんなにみせて

「竜は親からこういった虐待を受けてます!お願いします!!助けてください!!」

ってお願いした方がいいんじゃないか??
その後、仮想現実世界の住人が虐待映像から竜の居場所を特定して、竜を救ってハッピーエンド。
これなら竜の誤解も解けるし、仮想現実世界もシステムを一応は活用しているので、仮想現実も活きてくる。

それだと鈴の周りのキャラクターの存在意義がなくなると思うかもしれないが、ぶっちゃけあいつらはストーリーの邪魔でしかないので、むしろいない方がいいと思う。


■ キャラクター

何というかここまで全然興味が湧かない作品も珍しい。
というのも主人公の鈴と竜、自警組織以外はキャラクターを記号的にしか描いていないのだ。
如何にも重要そうな鈴の幼馴染の忍も別に必要ない存在だし、その他の仲間たちも同じく必要性を感じない。
まぁそれだけならまだマシなのだが、その不要で魅力のないキャラクターに無駄に時間を使い、肝心の竜に全然時間を使わないから意味が分からない。

では主人公の鈴が魅力的なキャラクターかと言ったら、そういう訳でもない。
基本的に理解不能な行動しかとらないし、何か問題に直面するとギャーギャー騒ぎながら走っている。
ハッキリいって不快だ。
ラストの竜宅に凸も意味不明。

鈴は人の前で歌を歌う事が出来ず、それの原因が母の死となっているが、それも全然説得力がないんだよな・・・。
母の死と歌って、何の因果関係がないと思うんだけど・・・。
まぁそれはいいとしても、何で仮想空間だと歌えるようになるんだ??
劇中でいずれは明かされるのかと思ったけど、明かされずに終わったし・・・。
ポルりん

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