サトタカ

プリズナーズ・オブ・ゴーストランドのサトタカのレビュー・感想・評価

2.4
複数の女優にセクハラ・性行為強要をした疑いで週刊誌に叩かれている園子温監督のハリウッド初挑戦映画。告発者のひとり、女優の千葉美裸は昨年2022年末に自殺している(※自殺の原因は不明)
どうしてもこのような情報が頭をかすめてしまい、この映画に出演してる女優さん達は大丈夫なのか、まさかソフィア・ブテラに手を出すとかはないよな、などとしたくもない心配をしてしまう。そんなこと考えてもしょうもないのはわかってるんですよ。わかってるけどね。

観る前から評価の低さは知っていたので、ハードルを下げまくってアマプラで観た。ニコケイが主演だというのもあって。

ニコラス・ケイジは、叔父さんがコッポラだから顔が微妙でもこんなにいい役もらえるんだろうと昔は思っていた。90年代の初め頃とか。しかしザ・ロック、コン・エアー、フェイス/オフあたりからは大げさな表情、演技に愛着を覚えるようになり、マッチスティック・メン、バッド・ルーテナントでハートを鷲づかみされ、すっかりファンに。キック・アスのビッグ・ダディなんか好きにならずにいられない…。ですよね?

この映画は脚本はアメリカ人によって書かれているようで、どこまで園監督がかかわっているのかわかりませんが、そもそもストーリーがあまりよろしくない。いや、ストーリーなどあってないようなもので、むしろ観客はお金のかかった不条理演劇、現代アートに対峙してるような心持ちで観るべき一本なのかも知れない。でもそういうアート寄りな作品ってすぐに作り手の自己満足だぁ〜、オナニーを見せられてるんだぁ〜、クソだぁ〜っていう反応が返ってきがちで、それはそれですこしゲンナリする。わたし、アートスクール出身なもんですから。
アートは免許や資格など不要で誰だってやっていいんだし、たとえ受け手が理解不能な出来だったとしても責められるものでもないと思っているから。そりゃ映画館に1,800円出して、ニコケイ主演のエンタメ作品を期待して雨の日にでも電車乗り継いで観に行ってこれだったら怒ってもしかたないけど、アマプラだのネトフリだったらまだ耐えられるよね。だめ?

たしかに既視感のあるモチーフが多かったし、グロ表現すらほぼないし、しかも吐血にしても刀で斬られる相手にしてもいまひとつリアリティが感じられない中途はんぱ感。そこらへんをがんばろうという意思がなかったんかな?何でか知らんけど。

なんか『JM』を撮ったロバート・ロンゴ(古くてすいません)とか蜷川実花とか写真家が映画監督して、絵面はきれいだけど、映画としては今ひとつかなぁみたいなパターンってあるじゃないですか。いや個人的な感想ですけども!
そういう感じはしましたよ。マッドマックス、ブレードランナー、ホドロフスキー、つげ義春の不条理マンガ作品なんかが思い浮かんだ。やっぱ『GANTZ』も…。

原発だか原爆だかをからめてるのもなんだか安易に見えちゃったのは残念かな。フワッとしてるからね。入れ方がね。お手軽に見えちゃうんだよね。

そういやニコケイの片玉がしょぼく吹き飛ぶけど、それは自虐か?単にオスカー男優にみっともない演技をさせたかっただけか?単純におもしろいと思ったのか?男性性をコケにしてフェミ寄りスタンスにでもなったんか??ほんとに…

坂口拓(TAK∴)のアクションは、よかった。さすがですよ。
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