けーすけ

1秒先の彼女のけーすけのレビュー・感想・評価

1秒先の彼女(2020年製作の映画)
3.9
郵便局で働く30歳のシャオチー。彼女は幼い頃から行動全てが人よりワンテンポ早く生きてきた。ある日、偶然に出会いトキメキを覚えた男性とバレンタインの日にデートをする事となった。楽しみにしていたシャオチーだったが、気がつくとバレンタインデーの翌日になっており、1日の記憶がすっぽりと抜け落ちていた。顔や腕は日焼けして真っ赤に…。彼女に一体何が起きたのか・・・







タイトルと台湾映画という事以外の前情報無しで鑑賞しましたが、ミステリーぽい雰囲気から始まる新鮮な感覚のラブコメディファンタジーとでも言いましょうか。意外な展開でかなり面白かったです。


導入部分はバレンタインの日の記憶がすっぽり抜け落ちたシャオチーが警察に「記憶を失くした」と言いに行くシーンから。
これは記憶に関わるミステリーか?はたまた『ハングオーバー!』シリーズ的なやつか?と推測させるような展開。


そして時を少し戻して、記憶が無くなるまでの出来事を追いかけて描写するのですが、シャオチーの30歳おひとり様の暮らしぶりには同年代の人には共感が大きそうかも?ラジオを聴きつつ、パソコンでSNSしながら鍋ラーメンを食べたり…。(SNSで彼女にコメントをくれる人、種明かしの時に爆笑でした)

そして自宅の窓外ににラジオのDJ(なぜか顔にモザイク)が現れたり、歌を歌ったり(やはりワンテンポ早いw)とファンタジー要素もてんこ盛り。


「一体ここからどう展開するんだ?」と思っていたら後半パートから視点が変わり、実はあの時、、、という見せ方に。ネタバレになる部分は言えませんが、「なるほど」「そういう事か」「やっぱりアイツは…」とクスクス笑える場面を交えて前半部分の描写を回収していきます。
映画冒頭に流れるラジオの色んなニュースも結構重要なポイントなので、是非しっかり聞いて記憶に留めておいてみてください。



現実ではありえない設定なので、そういう部分が苦手な人には刺さらないかもですが、僕はこういう映画が大好物なので最後までキュンキュン(死語)しながら観れましたし、なんならホロリと泣かされました。
(ただ、ある人物の行動は一歩間違えるとストーカーなのでそこで萎える人がいるかもしれないのは否めない)


あと、劇中おそらく皆さんが「これ、どうやって撮影してるんだろう?CG??」っていうシーンがあるのですが、予算がなかったらしく全て生身の役者が演じているとの事で驚きでした(勿論多少の映像処理はされているでしょうが)。要注目です!


原題は『消失的情人節』で「バレンタインデーの消失」といった感じでしょうか。劇中、このタイトルをもじった感じでチャプター的表現があるのでそちらも注目してみてください。


因みに台湾には2月14日と旧暦の七夕の日の年2回のバレンタインデーがあるそうで、七夕のバレンタインのほうが重要なイベントらしく本作でもその日が舞台になってます(シャオチーは記憶失くしてますがw)。

台湾、日本に似た雰囲気もありつつ、でもやはり異国っぽくて風景描写がどれもステキでした。バスが海辺を行くシーンはこの映画の白眉。



シャオチー役の主演・リウ・グァンティン、コロコロ変わる愛敬ある表情とコメディエンヌっぷりがめちゃ素敵でした。

そして郵便局でシャオチーの同僚として働く女の子、ウェン。彼女をヘイ・ジャアジャアが演じているのですが本作がスクリーンデビューとの事。めっちゃあざと可愛い演技にヤられましたw
本業は囲碁棋士で七段の実力との事…。天は二物も三物も与えるんですね~。



2021/06/10(木) 試写会にて鑑賞。渋谷・ユーロライブ G-9
[2021-050]
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