三隅炎雄

博徒外人部隊の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

博徒外人部隊(1971年製作の映画)
3.4
一から出直しだと闇市の風景を求めて沖縄へ。そこに因縁の暴力団が追うように本土からやって来る。深作欣二はこれまでもとにかくかっこよく撮りたいのが先に立って、自分が設定した主題を見失っている。幻想求めて琉球までわざわざやって来て大暴れとはいい気なものだが、そのいい気なものを映画は取り落として、結局手前勝手な自己陶酔の破滅美学に終わっている。ここの感想見てもかっこいいかっこいいだらけだものね。しかしそれは作り手の本意ではないだろう。なぞらえる人もいる『ワイルド・バンチ』のロバート・ライアンがここには欠けている。

優れた演出技術の持ち主なので面白く見せるが、同じ71年の小沢茂弘『日本女侠伝 激斗ひめゆり岬』に『傷だらけの人生』シリーズ2本、佐藤純彌『暴力団再武装』『博徒斬り込み隊』、村山新治『日本悪人伝』といった野心作と並べると、作りと思想がいかにも単純で見劣りがする。鶴田浩二は深作が使うといつも凄みが消えてぱっとしない。
三隅炎雄

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