遠藤善亀

レンブラントは誰の手にの遠藤善亀のレビュー・感想・評価

レンブラントは誰の手に(2019年製作の映画)
3.8
知的好奇心を刺激される作品
高評価をつけたくなるのも頷ける
東洋の島国に育った私には新鮮な発見と感嘆、そしてやはりヨーロッパの陰湿が見え隠れする。
真贋がハッキリとしない作品が多いと聞き及ぶレンブラント作品群
その謎の一端を垣間見ることができる。

読書する婦人の肖像を何処にするか逡巡する公爵と呼ばれる略奪者の子孫

莫大な相続税の支払いのために受け継いだ2枚の肖像画を手放す世界的な資産家

身近にレンブラントを感じながら育った野心を持つ貴族の若き画商

登場する人々が浮世離れしていてなんだか別世界のようだ。

資産家が手放した肖像画を観にルーブルへ雪崩れ込む人々の食い入るような視線と、
今にもページを巡りそうな読書する婦人の肖像画と共に暖炉のそばで本を読む公爵の絵画に対する付き合い方のコントラストに納得しつつ、絵画とはこうして付き合うものなのかと教えられる。

欲やさもしさをも見せながら、静かな愛情も魅せる遠い世界の話
遠藤善亀

遠藤善亀