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けったいな町医者のmarucoのレビュー・感想・評価

けったいな町医者(2021年製作の映画)
4.0
けったいな町医者 観ました。

けったいな は大阪弁です。
marucoも身内にはまあまあ使う。
奇妙な、変な、の意味。
けったいな奴やで、
けったいな顔やな、
けったいなかっこやな、
こんなんに使う。
決して褒め言葉ではない。でもな、
ほんの少しの優しさもあるねんな。
大概、たぶんやけど、
苦笑いしながら、
『けったいな』を使う。
死語にしたくない味のある大阪弁やと
marucoは思てる。

ところで本作観て思った。
古い言葉やけど『医は仁術なり』
これに尽きる。
身体の病気を治すことに留まらず
思い遣りを示すこと。そして、
金儲けをする方法として医療を施す
のではなくどんな患者にも分け隔てなく助けることが真の医療であると言う。

本作のけったいな町医者は言う。
これが長尾和宏内科医だ。
彼は医学部教授と呼ばれる人間を
このように語る。
『あれは薬屋の手先や!』
『宣伝マンやねん!』
『本来の仕事忘れて薬屋にそんたく
しよんねん』
『医者というもんは、
患者の病気と患者の性質を見抜いて
薬以外で出来る限りのアドバイス
しながら患者に寄り添うていくもんやなかったらあかん!』と誇らしく語る。
ここでも過剰投薬による
多剤服用のリスクを明確に話す。
恐ろしい現実の数々
怖い…、
長尾医師はとにかく全てにおいて、
熱く明白に語る。
これらを自家用車の中で
運転しながら語る。
あえてデカイベンツで往診に回る。
今の世の中小回り利く車より、
こんな車に乗るほうがかえって、
動きやすいらしい…、ウーン!
なるほどと思う。
多分
往診先でもらったんやと思う(笑)
紙の包みの中のおかきを
シートの横に置いてごそごそ
いわせて手づかみでばりばりボリボリ、
ええ音さして食べる。
食べながら語る。
美味しそうやったな〰️、
恥ずかしないんかな〰️とも思た。
このあたりは、
やっぱりけったいな医者の由縁やな。

そして私は思った。
本作は終末期における、
しかも老齢の方々に向けた医療やと
感じる。
ほんなら不幸にも
若くして辛い深刻な病に
冒されたとき見舞われたとき、
長尾せんせい、
どうすればええのん?
一回聴いてみたいと切に願う。
だって医療においては、
老若男女関係あれへん。
全ての患者さん達の心身が救われる
医療を考えないとあかんと思う。
これでは片手落ちやろと思う。
長尾せんせいは面白い。
人間味があって何でも言えそうや。
患者になっても
明るく時を過ごせそうや。でもな、
検診とかでブラを外して聴診器を
胸にあてがってもらうこと、
これはまだ恥ずかしい。
marucoもやがていつの日か、
羞恥心も無くなったとき、
その節は是非一度長尾せんせいに、
お目にかかりたい。

そして患者さん達を招いてやった、
クリスマスパーティーのとき、
長尾せんせいはロマンスグレーの
ロン毛のヅラ被ってたん良かった。
妙に似合ってた。
そしてなにより
1人だけの紅白と題して、
長尾せんせいのカラオケ何十曲。
ヘタな歌やったらこんなん、
聴かされたらイヤやな、
かなんな思ったけど、
音はちゃんと消してあったし
ただ口がパクパクしてただけやった。
その時ええ人やと思た。
そこまで厚かましない人、
映画館に来て下さった方々には
こんなんまで聴かされへんと、
遠慮しはったんやと思た。
でもな、この唄ってる表情が
これがまたスゴいことになってて
爆笑しそうやった。
最後にやっぱり
長尾せんせいの気遣いのある
ちゃんとした人間性と品格を感じた。

医師と患者には相性がある…、
必ずある。
重々承知のmaruco です。
大阪舞台に評価は甘めです。
(正確には兵庫です)

何もかもご容赦の程を🙏

おわり
maruco

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