JohnConstantine

クライモリのJohnConstantineのネタバレレビュー・内容・結末

クライモリ(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

私としてはかなり良かった。

まず、比較で「ミッドサマー」「アルカディア」もネタバレしているので未見の方は以下読まないでください。


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リメイク?シリーズ?だと思うが、と言うのも随分昔にホラー好きの無口な先輩がこのタイトルを口にした記憶が残っていたので。
そのタイトルの記憶で、Amazonにあったので鑑賞。


予告編をサラッと見て、森自体が何らかの怪異?と思わせるところもあったが、ちゃんと「いちばん怖いのは人間」「偏るのは危険」というところがテーマで良い。

不思議な集落や風習を題材にした映画は「ミッドサマー」「アルカディア」などを見たが、これがいちばん好感触。

閉鎖的なムラ社会においては自由のなさが現代人にとっては受け入れ難いものがある。
共同体の存続を主体にしてしまうと個人の自由に強い制限がかかるが、婚姻の自由や生死の自由が奪われるという点はミッドサマーが淡々と美しい映像と共に描いており、なおかつ共同体の死守に対するメンタリティが強い攻撃性でなく人間の主体性が奪われた状態でどこか微笑ましく行われていくところが不気味であった。
本作は共同体の死守には力によって行われる部分が強調されていて、その点ミッドサマーと違った点であろう。しかしながらこの描き方でないと後半のストーリーへ結び付かないので良かったと思う。

またアルカディアは山自体が怪異であったわけだが、こうしたパラノーマルな物に原因を求められるとモヤモヤ感が残ってしまう。
本作はその点完全に人間が要因であり、それも良かった。


そして主人公達が消え失せる、あるいはなんとか逃げおおせることに終息しなかった点も良い。

父親が命の危険を賭して娘の救出に向かうも捕らわれ、その娘は洗脳されていた、と思いきやそこから2人で脱出するために戦っていく展開は、こうした閉鎖的な共同体のクソみたいな足の引っ張り合い・互いに首を絞めあうような自縄自縛感に対するカウンター・パンチであって
、しっかり戦ってくれるのは実に胸がすく思いである。

そして脱出劇からややのち、日常を取り戻したかのように見えた主人公のもとに、共同体の長が現れる。
やはり追ってくるか…と落胆させここでまた戦うかと思いきや、家族を守るために自らを犠牲にして彼らについていく主人公。

ここで緩やかにエンディング曲が流れクレジットへ。
ここから定点の引いた画角、彼らの乗ったキャンピングカーは蛇行して停車した車にぶつかる。
そしてドアが開き…

終盤にいくつかの捻りを加え、最終的にはスッキリ。


カルトが大嫌いで憎悪に近い感情のある私としては、完全に本人の選択によって独自の価値観でコミュニティを築いて暮らすのは勝手だが、他人を引き込むな、そして去る者は追うなと強く思っており、気持ち良く終われる展開が良かったです。
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