結構気になっていた映画なのだが、もたもたしており都内上映館がなくなるギリギリで鑑賞
最初、ベトナムの街で車とバイクの群れが四方八方から交差する様子を上空から捉えた映像を見て「これはいい映画引いたんじゃないか？」とワクワクした
すごく静謐な映画なのだけど、静かなトーンの中でも役者の演技がとても良質だな、という印象を受けた 長い間海外で暮らし、ほぼstrangerの状態で祖国に帰ってきた主人公の微妙な戸惑いも表情やちょっとした仕草で上手く表現できていたと思う
大きなテーマであろう、現代ベトナムの裏で未だに残り続ける戦争の傷跡も重くなりすぎないかつ押し付けがましくない良い塩梅での描かれ方 ベトナム戦争は重い描き方もよくされる題材だけど、この映画では過剰になりすぎず、うまく市井の人たちの等身大の思いを描写できていたのではないだろうか
勿論、よく考えるとかなりヘビーなエピソードも多いのだが（証拠隠滅で写真を燃やしたので子供の頃の写真がない、とか）、そこも過剰に重たくなりすぎていない良い塩梅だったかと思う
あとこの映画は映像・カメラワークが素晴らしいです
雑多だったり洗練されていたり、色々な表情を持つベトナムの町並みを見ているだけで興味を惹かれるが、それを構図・映し方を工夫して描き出す引き多用のカメラワークが見事です 蓮茶を作っているシーンとか美しいことこの上ない
自動車・バイクの排気音で埋め尽くされる街頭の喧騒と、都会的で洗練された環境（ホテル・美術館等）での静かさという音の対比も印象的
また、オンライン通話の相手の音声を敢えて一切流さない辺りも拘りを感じた（あそこまで全く流さないのは珍しい気がする、気のせいか？）
ラストシーンはちょっと時間足りなくなったか？という気がする畳み掛け方だったのが気になったが、丁寧に作られた静謐な映画でかなり満足
かなりギリギリにはなったものの、見逃さずに見に行って良かったです
