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MONSOON/モンスーンのmudaのレビュー・感想・評価

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)
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静謐さと寂寞さがすごく好みだった。
ベトナム戦争後、社会主義化が進むベトナムでの迫害を恐れ、ボートピープルとして両親とイギリスへ渡ったキット。生まれ故郷なのにまるで観光地であるかのような居心地を感じながらも、生まれ育ったサイゴンや両親の故郷ハノイで自身のアイデンティティを模索する様子が印象的だった。
キットとリーが会話するシーンでは、二人の間にある歩み寄りたいけれど踏み込みきれない関係性が言葉だけでなく視線からも読み取れてもどかしく悲しかった。
チルト、ズームイン、ズームアウトなどのじんわりとしたカメラワークが特徴的で、サイゴンでの車とバイクでごった返す交差点や、戦後のドイモイ政策を受けて独自の経済発展を続けてきた街の様子、ハノイでの昔ながらの街並みやリンの家族が営む蓮茶づくりの様子をじっくり映し出していた。
ホン・カウ監督の作品をもっと見てみたい。
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