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カナルタ 螺旋状の夢のポレポレのレビュー・感想・評価

カナルタ 螺旋状の夢(2020年製作の映画)
3.2
Amazon Prime Videoで鑑賞。

エクアドル南部のケンクイム村のセバスティアンとパストーラ夫妻を中心に、現代のシュアール族の暮らしを追ったドキュメンタリー映画。

森と共生し、必要な物を必要な分だけ採る。一日よく働き、終われば仲間と酒を飲み交わす。ひたすらに時間に追われ、カネとモノに溢れた現代日本では半ば失われた、シュアールの人々の合理的だが楽しげな生活や姿勢が眩しく映った。一方で年長者たちが若者の働きぶりや仕事ぶりに愚痴をこぼす場面があり、「今時の奴らは…」という台詞は世界共通なのだなとホッコリ。

シュアール族では夢や、マイキュアやアヤワスカといった覚醒植物が齎す「ヴィジョン」を大事にするという。映画冒頭の言葉--よく眠り、夢を見て、真の意味で自分が何者かを知るべき時、シュアール族の人々は「カナルタ」と言う。--は、彼らがより良く生きるための智慧と信条を端的に表していると思う。

セバスティアンが怪我で入院した時、息子のダルウィンが撮影中の監督に向けて話した「俺たちの薬草からできる薬は科学者以上の存在なんだ。科学者は物事をでっち上げることもできる。でも俺たちの文化で使われる薬草や薬はでっち上げることはない。それは現実そのものを作るんだ。そして未来を生きさせてくれる。現在と未来、と言うべきかな」が含蓄に富む内容だった。当のセバスティアンも「今回の怪我は、自分が見つけた薬草や調合した薬が有効だと証明するために起きた」と捉えていることも印象的。
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