千年女優

U・ボート ディレクターズカットの千年女優のレビュー・感想・評価

4.5
第二次大戦下の1941年10月。占領下のフランス軍港ラ・ロシェルから連合国護送船団襲撃のために約50名の乗組員を乗せて大西洋へ出港したドイツ海軍の潜水艦Uボート。実戦経験者は僅かで目的地は数多くの同胞が駆逐された危険海域と絶望的な状況に震撼する彼らが、クリスマスまでの帰還を願って任務を遂行する様を描いた戦争映画です。

ドイツ人監督のウォルフガング・ペーターゼンが、大戦中にドイツ海軍に報道画家として採用されてUボートへの搭乗経験もあるロータル=ギュンター・ブーフハイムが上梓した戦争小説を映画化した作品のディレクターズカット版で、劇場版がドイツ映画ながら世界的にヒットして後に大作映画を手掛けるペーターゼンの出世作になりました。

150分の劇場版に1時間が加えられて三時間半強となった大作ですが、一度攻撃を喰らえば助かる見込みが限りなく薄い海中に潜伏する緊迫感をリアリティを追及した映像で持続していて、文字通り息を呑みます。そのいつ何時命を落とすやもしれぬ恐怖こそが戦争の本質であると物語と演出の両面から突き付ける、潜水艦戦争映画の金字塔です。
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