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U・ボート ディレクターズカットのtomoのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

名作だと聞いたことはあったが重そうで今まで敬遠していた。最近Netflixでドキュメンタリーを見たり関連書籍を読んだりと第二次世界大戦について触れる機会が多かったので、その流れでついに重い腰を上げて鑑賞。
戦争はどこを切り取っても辛い嫌な話ばかりだけど、個人的にトップクラスに体験したくないのが潜水艦。長期間狭い艦内ですし詰め状態、沈んだら終わりという状況を想像するだに苦痛なのだが、そんな自分にある意味ピッタリの映画だった。ものすごい逼迫感、閉塞感、緊張感。その中で友軍に出会えた時の感動や帰れるかもしれないと知った時の安堵感、逆に仲間の鑑がやられたり帰れないとわかった時の精神的ダメージ。魚雷に当たるかもという緊張もすごいが、それにも増して、艦体の損傷により浮上できずこのまま死ぬかもという絶望感。そこを乗り越えた圧倒的なカタルシスと、その後に訪れる結末の凄さ。
第二次世界大戦のドイツ軍を描いた作品で視聴者の感情を共感の方向に動かすのは難しいと思うのだが、本作は圧倒的な描写力で観る者を惹きつけ、いつのまにかUボートの無事の帰還を喜ばせてくれる。その直後、海の中でのあらゆる苦難を乗り越えてきた彼らを、呆気なく地上の一撃で壊滅させ、視聴者を突き放す結末に言葉も出なかった。
ディレクターズカット版は3時間半近くと長尺で、見るのにかなりの気力体力を要するが(しかも英語字幕のみの環境だったのでなお疲弊した…)間違いなく名作であり、頑張って見てよかった。
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