ボギーパパ

アウシュヴィッツ・レポートのボギーパパのレビュー・感想・評価

4.2
劇場2021-44 kinoみなと
『復讐者たち』に続けてハシゴ鑑賞。

『復讐者たち』も本作もBased on a true story.
このところホロコースト関連の騒動もあり、皆さん意識高めのようで結構な入りでした。

かく言う小生もこのジャンル映画には大変興味があり、できるだけ鑑賞していこうと常々考えています。観れば観るたびに、自分にとって新しい視点が生まれ、ほんの断片ながらも「知る」ことができる。だから観なければと思うのです。

今の時代はこういった多様なメディアもあり、「知る」権利も我が国では憲法により保証されている。しかしこの時代においては・・・知る、知らせることが如何に困難だったかを本作は紡ぐ。

本作は、大まかに言えばアウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所の非人道的捕虜の扱い、ホロコーストの現実を赤十字に訴えるため、「知らせ」「変え」るため、収容所から脱走する二人のユダヤ(スロバキア)人と残された人々、そしてこの史実に関する話。脱走する者は知らせるために走り、残った者は知らせられ、変わるまで耐える。

ホロコーストという人類史上最悪のこの歴史的事実は、この時点で確実に繰り広げられており、この被害にあったユダヤ系の方々は絶対的暴力・抑圧にさらされていた。 
もし自分があんな暴力に晒されたら・・・この辺りは『復讐者たち』でも考えさせられたが、あの圧倒的な暴力の前では、なす術が無いとしか思えない。
また、その周囲にいて直接的にその被害に遭っていなかった場合、真実を伝えられたことに対して
それを信じ、行動に移せただろうか?本作はここにもフォーカスを当て我々に訴えかける。ここが本作の肝!

如何に彼ら先人の犠牲の上に、そしてそれを救う為の行動により現代が築き上げられてきたか。これまでもそうだが、改めて感じ入った。二度と繰り返してはならないと思いを新たにしたし、

そしてエンドロール。これってホロコースト以降、今の今でも世界のどこかで繰り返され、繰り返されつつある事を忘れてはならないし、行動を変えていかねばならない!思いを強くする快作!
ボギーパパ

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