ぽち

アウシュヴィッツ・レポートのぽちのレビュー・感想・評価

3.0
命を懸けて収容所の実情を世界に届けた二人の勇気には心を打たれる。
ストーリーの見せ方もドラマの盛り上げ方も適切で、普通に観ることが出来るのだが・・・・・・・・・

オープニングのテロップで「過去を忘れる者は必ず同じ過ちを繰り返す」とある。これが監督の一番訴えたかったテーマで、エンドロールに被さる、様々な人の演説も「同じことを繰り返している」証拠として良い演出なのだが、ではなぜ今作を「実話に基づく物語」としたのかが疑問。

「歴史」を残したいのなら、創作が入ったこのような形ではありえない。

結局今作はこのような構造となっている。
実際にあった2人の脱走をモデルとして題材に使い、「同じことを繰り返している」現代の為政を批判している作品。

監督の目的はアウシュヴィッツの悲惨を訴えることでも、2人の勇気を賛美する事でもないわけで、そこが今ひとつ引っかかるところ。
悪くはないのだが、このような悲惨な事実を題材として使うことに抵抗を感じる。

歴史に事実を残し、なおかつ監督の訴えも描けるドキュメンタリーにしなかったことが今作の最大の敗因。
とは言うものの、映画が商品であるいじょう興行成績を上げるためにこのような形になった事も十分理解できる。
ぽち

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