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スペンサー ダイアナの決意のpenのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

鳥の死骸、自動車、過去を纒ったかかし、閉鎖された生家。不穏な影を背負った映画だったなと感じたのが第一印象。
広い屋敷の中を周囲に気を配りながら歩いたり、霧の中を彷徨う姿は、ホラー映画の雰囲気がある(特に前者はシャイニングを思い出した。閉鎖された空間での孤独。見えない何かがその人を苦しめる。本作の場合は伝統による締め付けや監視の目)。
観る前はクリスマスに訪れた屋敷内の人間関係上のすれ違いを台詞のやり取り中心で見せていくのかなと考えていたが、そもそもそうした会話が殆どない。あっても距離を取られているし、気が休まることもない。発話によるコミュニケーションではなく、咎めるような一方的な視線で受けた彼女自身の苦しみを掘り下げていくのが印象的だった。

料理長に衣装係の女性との絆や息子たちとの関係性、カーラジから流れ出す音楽から爽やかな今後を予感させるが、すぐに本作の主人公ダイアナ妃の未来を思い出させる。そのギャップが哀しい。

クリステン・スチュワートが熱演。不安な目線の動きが目に残る。サリー・ホーキンスにショーン・ハリス、ティモシー・スポールとイギリス映画で見る出演者が3人も出てて、かなり気合いの入った映画だったことを知る。そもそも脚本がスティーヴン・ナイトだったとは……。
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