バルジャン

ウォーターシップダウンのうさぎたちのバルジャンのレビュー・感想・評価

3.0
原作の小説は、中学生くらいの時に読み、大変感動しました。その時の興奮を、今でも覚えているほどです。最近、このレビューを書くために読み返してみましたが、昔読んだ時以上の感動がありました。

うさぎたちの冒険、というに留まらず、自由と住みやすいコミニュティを求めての闘いが、巧みな伏線とともに語られています。

さて、このFilmarksのレビューでは、1978年のアニメ映画と、Netflixの4話からなるCGアニメのレビューが混在しています。これは、クオリティ的にはっきり言って別もの。原作を読んでない人がレビューしているのも気になります。

なので、ここでは、分けてレビューさせて頂きたい。

まず、NetflixオリジナルCGアニメ版。
原作が単行本2冊にもなる長編なので、50分×4話ならば、かなりいいのではないか、今日のCGのクオリティならば、素晴らしいものが出来るのでは?と、期待しました。
が!はっきり言ってひどい出来です!がっかりしました。
まず、面白くない!原作を相当いじってあるのです。キャラの描写を変え、セリフはほとんど別もの。CGの出来も、ディズニーのライオンキングと比べても酷すぎて、うさぎの可愛らしさはまったくない。可愛くなくて、キャラの魅力もなくなってるので、ちっとも感情移入出来ない。退屈して、4話観るのは苦痛でした。

特に、原作で魅力あふれ、頼りになるビクウィグが、やたらリーダーのヘイズルに反抗して貶めるキャラになってるので、興醒め。原作では、彼の活躍がハラハラドキドキ、そしてその勇気と思いやりに感動を呼ぶのに…。

また、キャラクターのデザインは個性が分かりにくく、区別がつかない。誰が誰だか分からない。先にも書いたように、可愛くないのも致命的。

つまり、とにかく、原作ファンには観る価値のない作品、と言うことです。完全に、制作スタッフ選びを間違えている。BBCが制作に絡んでるのが信じられない。まったくいいとこなしです。

評価の星はせいぜいひとつ。

さて、次は、1978年のセルアニメ版。
この作品は、原作を読んだ映画プロデューサー・マーティン・ローゼンが、原作に忠実に、との意図で映画化したもの。監督する気はなかったそうですが、クリエイターたちに任せたら原作を変えてしまったので、自ら監督したとのこと。

公開当時の印象としては、明らかに尺が足りない。じっくり描いたからこその、ラストの感動が薄れてしまっている。サクサク話が進むので、余計そう感じてしまう。

ただし、映像はたいへん良くて、リアリティにこだわり、1匹1匹のキャラクターデザインは、素晴らしい。しぐさや動きもうさぎらしく、スタッフの努力を感じます。忠実であろう、とした意図が伝わります。
特に、敵のウーンドウォート将軍の凶悪なデザインは素晴らしく、2019年製作の40年も経って作られたNetflix版は、足元にも及ばないです。

実はコレ、日本語吹替版が素晴らしい。というのは、キャラクターの個性(性格)をキャスティングでうまく表していて、オリジナル英語版よりいい。日本の吹替技術は世界一ですね。

評価は、星3つというところでしょうか。

公開当時は不満だったこの1978年版ほ、尺の足りなさを除けば、とても評価に値する素晴らしい出来であると、Netflix版を観て改めて感じた次第です。原作への入り口としてもいいかと。

とはいえ、一番オススメなのは原作です!
壮大で、キャラが立ち、面白く、ハラハラし、哲学的でもあり、クライマックスの興奮は、まるで少年マンガのよう!
闘い終わってのエピローグも、味わい深くて感動します。
一読すれば、生涯忘れない本になるでしょう。
バルジャン

バルジャン

バルジャンさんの鑑賞した映画