このレビューはネタバレを含みます
『ホロコースト』
燔祭は歴史の中で、違う意味に姿を変えた。
ホロコーストだけではない。戦争史などに見え隠れする、様々な国が犯した蛮行の記憶。その殆どは、起きてから1世紀も経っていない…まだ新しい歴史の一頁。
だとしても、80年弱という時間で…世代は変わっていく。日本で言えば、被爆者たちはかなりの高齢になり…焼け野原は巨大なビル群に姿を変えた。それは傷跡が癒えていくようでもあるけれど、記憶が薄れて…消えていってしまうという事でもある。
ノルウェーがこの作品で、罪の記憶を残していくように…私たち日本人にも、残すべきものがたくさんある。
罪だけでなく、再起の記憶も残したいよね。
間違った時、壊してしまった時、それと向き合う時のために。
映画も、その手段のひとつになるのだと…
そんな事を、今さらながらに実感した。
そして、描き方も様々だな…とも。
人の残虐さや愚かさを思い知らされる作品。
人と人との繋がりを想わせる作品。
事実を捻じ曲げることも、人の印象を操作することもあるのだから困ってしまうのだけれど…近寄りすぎても、俯瞰しすぎても…片側だけでは足りないということも。
ホロコースト題材の作品は多くて、似通って感じてしまったり、他と比較してしまったりもするけれど…ノルウェーの内側に残る傷跡として、知ることができてよかった。
サイズ感が違うだけで、イジメとその矛先が自分に向かないようにと、それに加担してしまう…そんな姿でもあるよね。
自分の身体を切り売りしてるようでもある…
どちらにせよ後悔する結末しか待っていなくて…粛々と、それを待つような作品だった。