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セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記のsanbonのレビュー・感想・評価

3.7
記念作品ってやっぱり難しいよね。

わかる、わかるよー。

「ライダー」50周年と「戦隊」45周年をお祝いしたいから、歴代のヒーローを総出演させたいのは分かるんだけど、その上で大前提として子供向けでなくてはならないっていうのは、はっきり言って難しいよねー。

でも、ウン十年前のカビ臭いヒーローが出てきて嬉しいのは大半がいい歳したおっさんってのが覆しようのない現実なのよ。

だから、こういう記念作品って必然的に"影の"メインターゲットは大人になるんだけど、大人だけあって懐かしのヒーローがただわちゃわちゃ出てくるだけじゃ満足は出来ないし、かと言って内容を凝ったものにしてしまうと子供がついてこられなくなるかもしれないしで、その塩梅を見極めるのは実際問題非常に難しいところだと思う。

だ、か、ら!こういう大集合みたいな作品は乱発したらダメなんだっての!!

内容を子供向けにしても、大人も満足させる為には圧倒的な"初期衝動"が必要不可欠なんですわ。

思い出の中で輝いていた、小さい頃に憧れていたヒーローがまた目の前のスクリーンで悪と戦っているという"情動"が、拙い部分を補う為には絶対になくてはならないものなのに、こういう作品これで何作目よ!?

もう、どのヒーローがピックアップされてフィーチャーされてようが、ぶっちゃけ飽きちゃいましたってのが正直な本音。

あのね、人間って怖いくらいに簡単に慣れちゃう生き物なんですよ。

思い出補正にも限界ってもんがあるし、趣向を凝らした近年のヒーローとは違って、往年のヒーローはどれをとっても基本は似たり寄ったりなんだから、数が多ければ多くなるだけ個性が死んでいくんよ。

まあ、記念だからって理由だけで留飲が下がる人もいるでしょうけど、いくらファンだからといって皆が皆そういう人ばかりではないんですよ。

え?僕はどうだったかって?そんなもん、不覚にも泣きましたよ。

「意味がないのにこんなに続く?」

この言葉が「五色田介人」のような天真爛漫なキャラから放たれるだけで、こんなに威力を発揮するものになるとかヤバくない?

なんか、この言葉を言う為だけに誕生したキャラクターと言っても過言ではないくらい、こいつの存在はこの瞬間誰よりも輝きを放っていた。

そんで、ラスト「先生ぇ~っ!!」と涙ながらに「石ノ森章太郎」に駆け寄る「本郷猛」の姿に思わずもらい泣き。

この2人の関係性をここまで美化して描かれたんじゃ、これまでのモヤモヤなんて軽々と吹っ飛んでいっちまうよね。

そんで、泣いちまったもんは仕方ないから、今作はそこそこいい点数にするしかないじゃん!!

他の方のレビューを読んでると、たまに「泣いたけどそこまでではなかった」みたいな感想を見る事があるんだけど、泣かされたのに低評価を下すってどゆこと!?っていつも思うんだよね。

涙が流れるくらい心揺さぶられたのに?微妙だったの??なんで???って感じ。

そりゃ、色々不満はありますよ!

というか、ぶっちゃけ不満の方が多いですよ!

今作も、記念作品はメタ的な要素を取り入れないと作れなくなってきてる事に対して、そろそろ同じ事の繰り返しに手抜きのような感覚も覚えてきていたので、そこら辺の鬱憤を吐き散らかしてやろうかとも思ってましたが、泣かされちゃったらもう今回はお手上げですよ。

はい、こうさーんって感じ。

そのくらい、泣かせるって凄い事だと捉えているので、今回の不満はこの際置いておきます。

ただ、もう本当にメタ展開でただヒーローがゴキブリみたいに集まってくるだけの作品は、最低でもあと10年くらいは観たくはないので「東映」さんはそこら辺マジで考慮して頂きたい。

特に、ライダーに至っては50周年記念プロジェクトで「庵野秀明」監督と、もうすぐ新作公開を控えて話題沸騰中の「孤狼の血」の「白石和彌」監督というビッグネームを二人も引っ張ってこれて、一般層への訴求も可能な土台が出来つつあるんだから、今後の動向には真剣に高評価を狙いにいってほしいところである。

文句はあるけど、僕はずっと「仮面ライダー」が好きなんだい!!
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